記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
何度も中耳炎を発症する、または症状が長期間にわたる場合は、慢性中耳炎の可能性があります。
今回の記事では、慢性中耳炎の基礎知識を紹介していきます。長期間耳の不具合に悩まされている人は、早期発見、早期治療、予防対策に役立ててください。
慢性中耳炎とは、鼓膜に穴があいた状態になり、耳漏(耳からの分泌物、耳だれともいいます)と難聴を伴う中耳の慢性炎症をいいます。
慢性中耳炎は、以下の2つに分類されます。
慢性中耳炎の場合、急性中耳炎のように痛みは発生しません。慢性中耳炎には以下のような症状があります。
慢性中耳炎の原因は、幼児期の急性中耳炎の治療が不十分だった場合や再発を繰り返した場合、炎症によって鼓膜の穴がふさがらなくなり、乳突洞や乳突蜂巣のような周りの骨に細菌が感染してしまうからだと考えられています。
また、鼓膜がずっと穴があいた状態になってしまうと、細菌が入りやすくなってしまうことで炎症が慢性化しやすくなることも慢性中耳炎引き起こす原因になります。
慢性中耳炎の治療法を以下に解説します。
細菌感染が原因の場合、細菌の除去と炎症を抑えるために抗菌薬の内服や点耳が行われます。
慢性中耳炎の手術には以下のものがあります。
難聴の対処として補聴器を使う場合もありますが、耳漏がある場合は補聴器の使用ができないことが多いといわれています。そのため、難聴症状がある場合は手術をすすめられることが多いです。
慢性中耳炎は、度重なる急性中耳炎が発症の引き金になります。
このため、慢性中炎を予防するには、急性中耳炎の発症を予防し、万が一発症した場合でも適切な治療を続けることでしっかり治癒させることが大切です。
急性中耳炎は、鼻炎や咽頭炎に引き続いて発症することが多いですので、いち早く治療を始めるよう心がけましょう。また、日常生活の中でも、十分な睡眠やバランスの取れた食事などに注意し、体力を維持することも必要です。
さらに、冬場など空気が乾燥しやすい時期は、風邪をひきやすくなりますので室内を適度に加湿したり、マスクを着用したりして乾燥予防対策を行うのもおすすめです。
慢性中耳炎は、しっかり治療しなければ再発する可能性もあります。
また、重篤な症状を引き起こす可能性もあるため、中耳炎の症状がある、あるいは繰り返し続いているのであれば、耳鼻科を受診するようにしましょう。
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