真珠腫性中耳炎の手術療法と手術後の合併症を知ろう

2017/12/22

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東大医学部卒、医学博士

三上 貴浩 先生

真珠腫性中耳炎は、耳垢が溜まって球状の塊を作ってしまう中耳炎です。悪臭を放つ耳だれや難聴、めまいなどの症状が起こり、ひどいときには顔面神経麻痺を発症してしまうこともあります。治療の基本は手術になりますが、本当に手術は必要なのでしょうか。真珠腫性中耳炎の手術方法と合併症についてわかりやすく解説します。

真珠腫性中耳炎とは?何が原因で発症する?

真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)は、鼓膜の一部が凹んで耳垢がたまり、耳の中に「真珠腫」と呼ばれるできものができてしまう病気です。

球状の凹みに耳垢がたまって固まる様子が真珠のように見えることから、この名前がついたといわれています。

腫瘍ではないものの、進行すると真珠腫のなかで細菌が繁殖して炎症を起こし、耳から悪臭のする汁が出たり、耳小骨が溶けて難聴になるなどの症状が出ます。

さらに進行すると三半規管周辺の骨や中耳にある顔面の神経まで破壊し、めまいや顔面神経の麻痺を起こしたり、頭蓋内にまで炎症を引き起こす可能性もあります。

一説には、耳と喉をつなぐ耳管が開く耳管開放症(じかんかいほうしょう)や鼻すすりなどにより耳の機能が悪化すると発症しやすくなるといわれていますが、はっきりとした原因はわかっていません。

原因が耳管開放症や鼻すすりにあると考えられる場合は、耳管開放症の治療をしたり、鼻すすりのクセをやめるよう生活習慣を改めることで、改善する場合もあると考えられています。

真珠腫性中耳炎の治療に手術が必要なのはどうして?

真珠腫性中耳炎の代表的な治療法には、点耳薬などで様子を見る「保存療法」と、手術をして真珠腫を取り除く「手術療法」の2つがあります。

進行が遅く、比較的症状が軽い人の場合は保存療法がとられますが、真珠腫が大きくなっていたり、難聴やめまいなど合併症が見られる場合は、手術が必要です。

また、真珠腫は一度できると自然になくなることはないため、保存療法をとっていた人も、最終的にはほとんどのケースで手術による切除が行われます。

手術では、真珠腫の切除と一緒に破壊された組織の再建をします。

手術の手順としては、耳を切開して真珠腫を取った後に、真珠腫があった凹みを骨や軟骨で埋めて再建(鼓室形成)し、中耳まで空気が通るよう乳突部の解放と掃除まで行うのが一般的です。

真珠腫は少しでも取り残しがあると再発しやすいうえ、耳の中は死角ができやすいので、手術での取り残しも起こりやすいといわれています。

1回の手術ですべての真珠腫を取り切るのが難しい場合もあり、そのようなときは、再発防止のために手術を2回に分けて行い、徹底的に真珠腫を取り除きます。

真珠腫性中耳炎の手術の合併症とは?

真珠腫ができる中耳には、周辺に耳や顔面に通じる細かい神経がたくさん通っています。万が一、手術中に中耳内の神経を傷つけてしまうと、合併症が生じる可能性があります。

もし、真珠腫性中耳炎の術後にめまい、耳鳴り、難聴、味覚障害、顔面神経痛などの症状があらわれた場合は、合併症を起こしているかもしれません。
すぐに病院で診てもらってください。

おわりに:治療には手術が必要!すぐに病院で医師に治療方針の相談を

真珠腫性中耳炎は、そのままにしておくと耳の中の骨や神経を破壊し、耳だけでなく全身に症状が出る病気です。手術で取り除く必要がありますので、術後の合併症のリスクも含めて医師とよく相談し、治療してください。

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