食道アカラシアとは!?どんな症状やリスクがあるの?

2017/11/21 記事改定日: 2018/11/7
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

食べ物がつかえてしまったり、逆流したりする――特に中年層の方でこういった症状がみられたら、「食道アカラシア」を疑ったほうがいいかもしれません。
具体的な症状や原因、治療法については以降で解説します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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食道アカラシアとは、どんな病気?なぜ発症するの?

食道アカラシアは、原因不明の食道の機能異常によって食道の蠕動運動が障害され、胃に近い部分の食道の筋肉が十分に開かなくなってしまい、通過障害や食道の拡張などが起こる病気です。食道の粘膜や筋肉には異常はなく、中高年で発症することが多いのがこの病気の特徴となっています。

食道アカラシアを発症すると、食道が十分に開かないために食べ物の残りかすが食道の中にたまってしまい、食道に炎症が起きてしまったり、胸焼けや胸の痛みなどの症状が現れることがあります。症状が進行してしまうと、体重が減少する場合もあります。

食道アカラシアの原因

食道アカラシアの原因は、食道の動きを司っているアウエルバッハの神経叢(しんけいそう)の異常による影響ではないかと考えられていますが、発症する直接のきっかけは明らかとなっていません。発症率は10万人に1人という割合で、珍しい病気といえます。

食道アカラシアになると、どんな症状が現れる?

通常、胃と食道の境目というのは、食べ物を消化している時には閉じて逆流しないようになっていますが、食道アカラシアになると開閉がうまく作用しなくなり、常に胃のつなぎ目が半開きのまま固定されている状態となります。

そのため、食道アカラシアになると固形物や液体を飲み込むことが難しくなり、口にした食べ物が逆流してしまったり、胸や背中の痛み、胸焼けなどの症状が引き起こされたりする場合があります。特にストレスや過労、冷たい飲食物を摂取すると、症状がひどくなるというのもこの病気の特徴です。

また、食べ物を飲み込みにくくなったり、誤って食べ物が気管に入ってしまい、誤嚥性肺炎を引き起こすこともあります。

食道アカラシアが悪化・重症化するとどうなるの?

食道アカラシアを発症すると、食べ物が胃に入りにくくなり、飲み込みづらさや胸焼けのなどの症状を生じます。軽症であれば、食道の筋肉を弛緩させる薬物を服用することで不快な症状を緩和することができます。

しかし、症状が悪化したり重症化すると、食べ物が胃の中に流入しなくなり、口や鼻から飲食物が漏れ出てきたり、逆流した飲食物が気管に入って誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。誤嚥性肺炎は小児や高齢者など免疫力が低い人が発症すると、死に至ることもあるため注意が必要です。また、食道が過度に伸展することで前胸部に痛みが生じるようになります。

さらに、食道アカラシア患者は食道がんのリスクが正常な人よりもやや高いことが分かっています。食道アカラシア自体が非常に珍しい病気であり、明確な発症メカニズムが解明されていないため、どのような理由で食道がんを発症しやすくなるかについては様々な説があります。食道に慢性的な負荷がかかることや、飲食物が停滞することで粘膜が傷つくことなどが挙げられますが、適切な治療や定期的な検査を行うことで食道がんの発症リスクを下げ、万が一発症したとしても早期治療を行うことができます。

食道アカラシアの治療法

食道アカラシアの治療法には、主にカルシウム拮抗剤による治療やバルーン拡張術、外科的手術の3つがあります。

まずカルシウム拮抗剤は、下部食道括約筋をゆるめる効果があります。一時的な症状の緩和など、比較的軽度な場合に用いられます。

次にバルーン拡張術とは、専用のバルーンを使って狭くなった下部食道括約筋を拡張していく治療です。内視鏡を使用して、食道の狭くなった部分でバルーンを膨らませることで、食べ物を通りやすくしていくことができます。

外科的手術は、もっとも確実性の高い治療法で、バルーン拡張術を行っても改善がみられなかった場合などに行われます。下部食道括約筋と前後の筋肉を切開し、スムーズに食べ物が流れるようにした後、胃の一部を使用して食道を覆い、逆流を防止していきます。

おわりに:リスク軽減のためにも、食道アカラシアのような症状がみられたらすぐに病院へ

当てはまる症状はあったでしょうか。食道アカラシアは発症率の低い病気ですが、食道がんの発生リスクに関わる病気です。
少しでも異変を感じた場合には、できるだけ早期に医療機関を受診しましょう。

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