慢性肝炎ってどんな病気? 日常生活で気をつけることは?

2017/11/22 記事改定日: 2019/6/4
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

慢性肝炎の多くはB型肝炎やC型肝炎のようなウイルス感染によるものです。急性肝炎のうちに治療を始めれば完治することがほとんどですが、6ヶ月以上続き慢性化した場合、治療が困難になることもあります。この記事では、慢性肝炎の基礎知識について解説しています。

慢性肝炎の症状とは?

慢性肝炎は、肝臓に炎症が起こった肝炎の状態が、約6カ月以上にわたって続いていることを指します。

原因として最も多いものが、B型肝炎とC型肝炎ですが、まれに原因不明で慢性肝炎になることもあります。B型肝炎とC型肝炎は、肝炎を起こすウイルスに感染することで発症し、治療によって完治することもありますが、そのまま慢性化する症例も少なくありません。

その他に薬剤の影響で肝臓に炎症が起こるものやアルコール性肝炎という過度の飲酒が原因で慢性肝炎へ移行するもの、脂肪肝になった人が肝炎を発症してそのまま慢性化するものがあります。

症状

慢性肝炎を発症すると、身体のだるさや、食欲不振、吐き気などの症状が現れ、疲労感を訴える人もいます。症状がどのように現れるかについては個人差があり、中にはほとんど症状が出ないという人もいます。まれに微熱がでたり、上腹部のあたりに軽い痛みや不快感を感じることもあるようです。

急性肝炎を発症したときには黄疸が見られますが、慢性肝炎に移行する頃には黄疸の症状は落ち着いていることが多いです。

休みの日で特に何もしていないのに、身体がだるく、疲れがとれないなどの症状で病院を受診し、慢性肝炎を起こしていることに気づく人も多いといわれています。
自覚症状が少ないため発見が遅れやすく、肝硬変へと進んでしまう人も少なくありません。

慢性肝炎はどうやって治療するの?

慢性のB型肝炎に発展した場合、インターフェロンの注射や核酸アナログ製剤の内服で免疫機能を高める抗ウイルス療法を行ってもB型肝炎ウイルスの排除は難しいとされています。そのため、肝硬変や肝臓がんへの伸展を防ぐことが治療の中心になります。

上記の抗ウイルス療法と肝炎の悪化を防ぐ肝庇護(かんひご)療法、免疫機能をあえて低下させ肝炎の症状を抑えるステロイドリバウンド療法などを組み合わせて治療が行われます。

C型肝炎の場合には、抗ウイルス療法でC型肝炎ウイルスの完全排除が可能です。以前はインターフェロン療法が主流でしたが、現在はインターフェロンフリー治療がメインになっています。

アルコール性肝炎の場合には、不足している栄養素を補う栄養療法を行います。高エネルギー、高タンパク、ビタミンの補給を行うことで、肝臓の機能の回復を図ります。

予後について

慢性肝炎の治療後の予後は、原因やどの段階で治療を行ったかによって大きく異なります。
慢性肝炎は進行すると肝臓が線維化して肝硬変に移行しますが、早い段階で治療を行えば完全に肝機能が回復するケースもあります。しかし、線維化が進行した状態で治療を行った場合は、肝機能が正常に戻らないことも多く、中には治療を行っても肝硬変に進行し、肝がんを発症してしまうケースも少なくありません。

慢性肝炎は進行するまで目立った症状が見られないことも多いため、発見が遅れがちな傾向にあります。このため、年に一度は健康診断を受けて肝臓の状態をチェックするようにしましょう。
また、ウイルス性の慢性肝炎は肝硬変、肝がんを発症するリスクが高いので、一度は肝炎ウイルス検査を受けることをおススメします。

慢性肝炎の人が日常生活で気をつけること

アルコールは肝臓にとって大きな負担になります。そのため、慢性肝炎を発症したときは飲酒は控え、肝臓機能を正常化するために、栄養バランスのとれた食事を摂取するようにしてください。
また、薬も肝臓に負担をかけます。市販の薬を自己判断で飲むことはせず、必ず主治医に相談しましょう。

その他、長風呂をしたり、サウナに入ってしまうと体力消耗につながるので、入浴は身体の負担にならない程度に抑え、激しい労働は身体を疲れさせてしまいますので、無理をしない程度にコントロールしましょう。

おわりに:肝炎は慢性化するまえに治療を始めることが大切。少しでも気になる症状があるときは病院を受診しよう

肝炎は、急性肝炎のうちに適切な治療を受ければ完治することも多いですが、B型肝炎のように慢性化すると治療が困難になる肝炎もあります。定期健診を受けることはもちろん、疑わしい症状があるときはすぐに病院を受診しましょう。

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