記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/11/21 記事改定日: 2019/10/29
記事改定回数:1回
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
眼瞼炎になると、まぶたやまつげの根元が赤くなったりかゆみが出るようになります。自然に治ることもありますが、長引くとただれたり慢性化することがあるので少々やっかいです。
この記事では、眼瞼炎の症状や治療、予防法を解説していきます。
眼瞼炎は、まぶたに炎症が起きる病気です。
眼瞼炎は大きく2つに分類され、まつげの根元の部分に起こる炎症は「眼瞼縁炎(がんけんえんえん)」、まぶたの皮膚の部分に起こる炎症は「眼瞼皮膚炎」と呼ばれます。
眼瞼炎が発症する原因は、眼瞼縁炎か眼瞼皮膚炎かによって異なります。
眼瞼縁炎の原因は、感染性と非感染性の2種類に分けられます。
感染性による眼瞼縁炎の主な原因は、細菌及びウイルス感染です。ヘルペスウイルス、ブドウ球菌などが付着している手で眼に触れることで、病原菌がまつげの毛根などに侵入し発症します。
非感染性の眼瞼縁炎は、皮脂線の分泌物が過剰になり、まつげの根元部分に脂漏性皮膚炎を引き起こすことが原因です。
脂漏性皮膚炎が起こる主な原因ははっきりとは解明されていませんが、皮膚を餌にしている真菌、マラセチアの増殖、ストレス、ホルモンバランスの乱れなどが影響していると考えられています。
眼瞼皮膚炎は、まぶたの皮膚がアレルギー反応を起こし、皮膚が赤くなったり腫れたりする眼瞼炎です。
アレルギーの要因として考えられるものとして、化粧品や軟膏薬、コンタクトレンズの保存液、食べものなどがあります。
最近は、まつげのエクステやまつげパーマ、つけまつげの接着剤で眼瞼皮膚炎を発症する人が増えているといわれています。
なお、このアレルギー症状が目尻に出るものを、眼角眼瞼炎(がんかくがんけんえん)といいます。
眼瞼炎の症状は、眼瞼縁炎か眼瞼皮膚炎かによって少し変わってきます。
眼瞼縁炎のおもな症状は
などです。
眼瞼縁炎は慢性化することが多く、酷くなると
などの症状を引き起こすことがあります。
眼瞼皮膚炎は、まぶたが赤く腫れてかゆみが出るということがおもな症状です。
酷くなると水疱ができて皮膚のただれを引き起こし、表皮が角質化してぽろぽろ取れてくるようになります。
また、アトピー性皮膚炎が原因となって起こるアトピー性眼瞼炎では、眼のまわりの皮膚がかさつき、湿疹や赤み、ただれなどの症状を引き起こします。
かゆみが強く、かゆいからと強くこすったりしてしまうと網膜剥離や白内障を誘発する恐れがあります。
眼瞼炎の治療法は眼瞼縁炎と眼瞼皮膚炎によって異なります。
眼瞼縁炎の回復には、まぶたを清潔に保つことが大切になってきます。
治療では感染性の眼瞼縁炎では、抗菌作用がある点眼薬や軟膏を使用し、ヘルペスウイルスによる眼瞼縁炎の場合は抗ウイルス剤を使用します。
非感染性の場合はステロイド剤の点眼薬や軟膏を使います。
眼瞼皮膚炎の原因はアレルギーのため、治療に移る前にアレルゲンを特定する必要があります。アレルゲンが特定されたら、それに触れないよう日常生活に注意したうえで、症状を抑えるためにステロイド剤の軟膏を使います。
アレルギー症状が強い場合は抗ヒスタミン薬を内服することもあります。
眼瞼炎の原因は様々あるため、発症を予防するにはそれぞれの原因を取り除くことが大切です。
感染が原因の眼瞼炎は、洗顔時に目の周囲も丁寧に洗って清潔に保つようにすることである程度予防することができます。
皮脂の過剰分泌が原因となる場合には、目の周りにも使用できる保湿効果の高い化粧水を使用したり、食生活・睡眠習慣を整えるなどの対策がよいでしょう。
また、マスカラなどの化粧品で眼瞼周囲の皮膚が炎症を起こすこともありますので、使用して刺激を感じるような化粧品は速やかに使用を中止してきれいに洗い流すようにしましょう。
もしアレルギーが原因の場合、まずはアレルゲンを特定し、それらの物質を身の回りから遠ざけるようにしてください。
眼瞼炎は放っておいても治る病気ではありますが、炎症が悪化すると、まぶたがただれたり変形したりしてしまうことがあるので注意が必要です。
まぶたにかゆみや炎症が起き、なかなか治まらないときが、早めに眼科を受診しましょう。
また、予防・治療には原因である細菌やウイルス、アレルゲンを避けることが大切です。目の清潔を保ち、アレルゲンにはなるべく近づかないようにしてください。