骨盤内臓器脱のひとつ、「子宮脱」とは

2017/11/16

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

女性であれば気をつけていただきたい病気のひとつが「子宮脱」です。出産経験をした人や、仕事柄立ち仕事や、重い荷物を持つ人達など様々な要因から起こると言われている「子宮脱」について、症状や対処法などを紹介していきます。

子宮脱とはどのような病気なの?

骨盤内臓器脱の一種である子宮脱とは、子宮の一部が何らかの影響で下へと下がり、腟外へと出てきてしまう疾患です。子宮の周囲には膀胱や腸などの臓器があるため、子宮が下がることで周囲の臓器も下がり、その不快感から日常生活を送るのが困難になるケースもあります。

子宮脱が起こる原因は?

骨盤内部ではハンモック状の筋肉や靭帯が子宮を支えていますが、それが様々な要因で切れたり伸びたりを繰り返すと、子宮脱を引き起こすことがあります。

子宮脱は、妊娠・出産を経験した方や、日頃から立ち仕事や重い荷物を持ったりする方、更年期を迎えた女性に多く見られます。ただし、加齢とともに筋力も低下することも原因のひとつとされていますが、もともと靭帯や筋力が体質的に弱い人もいるので、更年期を迎えたからといって必ずしも子宮脱になるわけではありません。

子宮脱になると、どんな症状がみられる?

多くの人に見られる初期症状は、「腟の間になにかが触れている」という違和感です。そして、飛び出てしまった子宮は外部に触れることから、歩行の際などに皮膚がこすれて痛みを感じたり、出血を起こしたりします。また、下がった子宮により膀胱や腸も一緒に下がるため、気持ち悪さや違和感があります。

子宮脱は、重度であれば感染症を引き起こすこともあるので、これらの症状が現れた場合は、すぐに医療機関へ行くことをおすすめします。

どうすれば子宮脱が治る?

先ほど説明したように、子宮は靭帯で支えられています。そこでおすすめなのが骨盤底筋体操や骨盤底筋トレーニングです。行うことで靭帯強化や筋力強化につながり、子宮脱の予防効果も見込めます。特に出産を経験された方や立ち仕事、重い荷物を日常的に持つ方は試してみることをおすすめします。

ただ、重症の場合は子宮が外部に出てしまい、刺激から出血や痛みを感じるので、自然治癒する可能性は低いです。そのため、きちんと医療機関の受診することが必要です。子宮脱はまずペッサリーという柔らかいリングを腟内に挿入して経過をみます。ペッサリーで軽快する場合はそれ以上の治療は必要ありません。ペッサリーでも子宮脱が改善しない、自然とペッサリーが脱落してしまう、挿入に伴う不快感や出血などの症状が辛いという方には手術療法が行われることもあります。手術には腟壁を縫い縮めて子宮を落ちてこなくしたり、専用のメッシュを入れて修復することで、子宮を正しい位置に戻す治療などがあります。

おわりに:子宮脱は放置すると感染症につながる恐れが!

子宮脱は放っておくと、症状の悪化や感染症を招いてしまうリスクもあります。ペッサリーや手術で治療可能な病気ですから、腟や会陰に違和感を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。

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