記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/27 記事改定日: 2019/1/8
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
廃用症候群は、過度に安静にしたり動かなかったりすることで起こる症状のことで、生活不活発病ともいわれます。
筋肉の低下から始まり、さまざまな症状が起こるようになります。今回は、廃用症候群による筋力低下を予防する方法について解説していきます。
廃用症候群とは、病気や怪我で安静にしたり体をあまり動かさなかったりした場合に起こるさまざまな症状です。生活不活発病とも言われており、その名の通り生活が不活発になってしまうことです。
廃用症候群になると、体を動かさなかったことで筋力が低下し、動くことが億劫になります。動かなくなってしまうと、関節や臓器の能力も低下します。思うように動けないことで、精神的に落ち込んでくることもあります。これらの症状がさらに活動量を低下させるという悪循環が起き、生活を不活発化させるのです。
廃用症候群の主な症状として、筋肉や関節の萎縮、骨萎縮や床ずれ、心肺機能の低下、食欲不振や便秘、うつ傾向などがあります。全身の身体機能が低下し、悪循環に陥るのが特徴です。
このほか、動こうとするとたちくらみが起きたり、血管に血の塊がつまる血栓塞栓症を引き起こしたり、食べ物が誤って肺に入って肺炎になる誤嚥性肺炎の原因になったりすることもあります。
廃用症候群にならないためには、動く機会を増やすことが重要です。寝たきりの時間が多い方は、まずはベッドを起こし、座り、イスに移動するなど、段階を踏んで徐々に運動量を増やしましょう。
着替えや排泄など、自分でできることはなるべく自分でするようにし、介護者の方が過保護にならないようにすることも重要です。自分の意思で動く機会が増えると精神的にも上向き、気持ちも前向きになりやすくなります。マッサージやリハビリ、介護サービスを利用するのもひとつの予防手段です。
なお、薬によって症状を抑えることができる場合は薬物治療も行います。いずれにしても医師や専門家の指導を受けながら、無理のないように予防していきましょう。
廃用症候群を防ぐには、定期的に適度な運動を行うのが一番です。寝たきりの状態が多い人は、膝の曲げ伸ばしや股関節の開閉、お尻の上げ下げ、肩関節回し、手指の閉じ開きなどを行いましょう。自分で動かすことができない場合は、介助者や理学療法士などが他動的に関節を動かして拘縮を予防しましょう。
また、座ることができる場合は、座った状態で足踏みや踵・もも上げ、肘の曲げ伸ばしや挙上などを行うようにします。さらに、呼吸筋を鍛えるために腹式呼吸や深呼吸を行うのもおすすめです。歩行が可能な場合には、無理のない範囲で転倒に注意しながら適度に歩くようにしましょう。
廃用症候群を防ぐには、このようにできる範囲での運動を毎日続けることが大切です。ただし、無理に関節を回したり伸ばしたりすると骨折や脱臼を引き起こすことがありますので、無理のない程度を心がけ痛みがある場合には運動を中止するようにしましょう。
廃用症候群は、動かないことが発端となり生活が不活発になった状態です。特に高齢者・シニアが廃用症候群にかかると元に戻るのは難しくなるので、治療よりも予防が重要となります。できるだけ寝たきりにならないよう、可能な範囲で動きましょう。
介護者の方からすれば少しじれったく思うこともあるかもしれませんが、手を出しすぎないことが、廃用症候群を予防する上で非常に大切です。
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