廃用症候群のリハビリのポイントと継続させるための注意点とは

2017/12/20 記事改定日: 2019/1/8
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

廃用症候群は、何らかの理由で長期間寝た状態でいなければいけなくなってしまったときに起こる、筋力低下やそれに伴う心身の不調のことです。
回復のためにはリハビリが重要になってきます。この記事で廃用症候群のリハビリのポイントを紹介していくので参考にしてください。

廃用症候群はリハビリが必要?

廃用症候群とは、大きな怪我や病気が原因で長期間の安静状態を続けた結果生じる、心身の機能低下などの症状の総称です

1週間の寝たきり状態でも10~15%程度の筋力低下が発生するといわれており、特に高齢者の場合の筋力の衰えは顕著です。廃用症候群にかかることで、さまざまな病気の発症リスクが高まり、また行動の制限や身体機能のおとろえなどにより生活の質(QOL:Quality of Life)が著しく低下します。

関節が固まったり筋力低下などが症状として知られていますが、体を自由に動かせなくなることで精神的にも鬱状態になり、前向きに生きていく気力を失い一気に弱ってしまうことすらあるので注意が必要です。

廃用症候群の診断基準はありませんが、一般的には「長期的な休養による著しい心身の機能低下がみられ、リハビリ無しでの改善の余地がない」とみなされると廃用症候群と診断されることがあります。

廃用症候群の予防には、早期のリハビリ開始が必要

高齢者が一度廃用症候群になると、症状は、運動器系以外に呼吸器系や循環器系にも影響してくるため、再度元の状態に戻るまでには非常に時間がかかり、多くの労力を必要とします。
そのため、ケガや病気で安静が必要になった場合は、長期臥床(長い期間寝たきりの状態でいること)の予防が非常に重要になってきます。

寝たきりになってしまった場合は、主治医から許可がもらったら段階で、すぐにリハビリを開始できるように備えておきましょう。

廃用症候群のリハビリのポイント

一度廃用症候群になると、廃用症候群の中の1つの症状が引き金となり、雪だるま式に様々な症状に派生することで、不活動や寝たきりがさらにひどくなるという悪循環が生じてしまう可能性があります。
そのような悪循環を防ぐためには、正しいリハビリを慣行することが重要です。

動かせるところは動かし、寝た状態が続かないように座っている時間を増やしたり、ベッド上で上肢や下肢を動かす運動を取り入れるようにしましょう。

また、精神面でも、人とのかかわりが薄れると機能の低下をきたすので、周囲の人は言葉を頻繁にかけるようししてあげてください

ある程度体が動かせるようになってきたら、筋力増強運動が必要になってきます。
また、長期間体を動かさなかったことで関節が拘縮している場合は、医師や理学療法士の指導のもと関節可動域運動を行いましょう。

立つことができる状態であれば歩行訓練を行い、1人でできる動作を増やしていくために着替え、排せつなど、身の回りの動作も可能な限り自分で行うように努めてください。

そしてリハビリで重要なのは、「毎日継続的に行う」ことです。家族以外にも作業療法士や医師などと連携して、関係者全員でサポートしてあげるようにしましょう。

廃用症候群の関節可動域運動(ROM訓練)

廃用症候群では筋肉や皮膚の柔軟性が低下し、関節の拘縮が生じやすくなります。
このため、関節を他動的に動かすことで関節が動く範囲(関節可動域)を維持するリハビリが行われます。このようなリハビリを関節可動域運動と呼びます。

関節可動域運動では、肩や股関節、足首、手首などの旋回する関節では脱臼に注意しながら関節をゆっくり旋回させ、左右に伸ばしたり、持ち上げたりします。

また、肘や膝、指などの伸展する関節は、ゆっくりと伸ばすように関節を開き、抵抗を感じる部位で30秒ほどキープして元に戻すという運動を繰り返します。
ただし、廃用症候群の患者は骨粗鬆症を患っていることが多く、無理に関節を伸ばすと骨折や脱臼を生じることがあります。運動は無理のない範囲で行い、関節に抵抗を感じた場合はそれ以上に伸ばさないようにしましょう。

リハビリのときの注意点

廃用症候群のリハビリには、様々な注意点があります。
廃用症候群の患者は褥瘡を形成するリスクが高く、しっかりとカロリー計算をして栄養管理を行うことが大切です。また、リハビリ後は背中やお尻に体重がかかっている状態になりますので、体位交換を忘れてはなりません。
さらに、廃用症候群の患者はうつ病などメンタルの変調をきたしやすく、不眠や食欲低下などの身体症状が現れることがあります。リハビリ中に積極的に話しかけたり、好きな音楽を流すなどしてメンタルケアも同時に行うことも大切です。

おわりに:できるだけ早くリハビリを始め、継続できる環境を整えることが大切

廃用症候群は、いったんかかると悪循環式にさまざまな症状が現れ、身体面でも精神面でも社会復帰に労力を要する病気です。
長期臥床の状態にならないための予防を心がけ、発症した場合は周囲にサポートしてもらいながら早期にリハビリに取り組みましょう。

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