記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
貧血の症状は大人だけではなく、鉄の需要が大きくなる離乳時期や発達期を中心に子供にも見られる症状です。子供が貧血になると、大人の場合とどう違うのでしょうか?その原因や症状、対処法などについてご紹介します。
貧血とは、赤血球に含まれているヘモグロビンというたんぱく質が不足してしまうことで発症します。ヘモグロビンは血液中で酸素と結びつくことで、体中に酸素を運んでいるのですが、何らかの原因でヘモグロビンが減ってしますと、全身で酸素が足りない状態(酸欠状態)になり、めまいや動悸などの症状が現れます。
ヘモグロビンの原料である鉄が不足することが主な原因といわれていますが、ケガなどで大量出血したり、病気などが原因で発症することがあるため注意が必要です。
子供の貧血が多いのは、乳児期と思春期です。妊娠後期の3ヶ月で母親から胎児へと鉄分が送られ、生後6~9ヶ月頃までに必要となる貯蔵鉄として蓄えられます。生後6ヶ月頃になると貯蔵鉄が少なくなる一方で、急激な成長に伴って血液量が増え、赤血球を大きくするために鉄の需要が増えます。母乳だけで十分な鉄を補充することは困難なため、離乳食で必要な鉄の量を補う必要があります。
乳幼児期の子供に起こる貧血は、このように離乳食に含まれる鉄の量が少ないことが原因で発症することがあります。
妊娠高血圧や母体糖尿病を原因に胎盤の働きに障害があった場合や、低出生体重児のケースでは母体からの鉄移行が十分に行われないため、乳児貧血となります。
妊娠中の母親の鉄欠乏も、貯蔵鉄が早期に枯渇して貧血になる原因です。思春期に起こる貧血は、急激な身体の発育によって鉄需要が増大することが大きな原因であり、月経(生理)で鉄喪失量が増えたり、ダイエットで鉄摂取が不足したりすることも原因となります。
また、スポーツをよくする子供の発症例が多いのが、運動量が増えて大量の汗をかいたり、足裏の赤血球が破壊されたりすることで起こるスポーツ貧血です。
子供が貧血になると唇や皮膚に血の気が感じられなくなり、青白くなります。また、眼瞼結膜と呼ばれる下まぶたの内側が青白くなったり、爪がスプーン状に反ったりするほか、口の端が切れる口角炎も見られます。また、鉄欠乏性貧血の大半にみられるといわれているのが、氷をたくさん食べるという症状です。その他、集中力や注意力の低下、めまいや疲れやすさを感じたりイライラしたりといった自覚症状も現れます。
貧血は自覚症状を感じない場合も多いため、症状をはっきりと感じた場合は、貧血が進んでいる状態かもしれません。
特に乳幼児は自覚症状を訴えることができないため、親が早めに気付いてあげることが大切です。
乳幼児の貧血は離乳食への移行が進むと改善されることも多くありますが、身体の成長や精神発達に影響する可能性があるので油断はできません。顔色などから貧血を感じたら、病院で検査をしてもらいましょう。
食事で改善が可能な程度であれば、偏食や欠食がないように1日3食の規則正しい食事を意識し、鉄分を多く含む食材を積極的に摂るらせるようにしましょう。
吸収率が高いヘム鉄を多く含む豚レバーや牛レバー、あさり、非ヘム鉄を多く含む小松菜やひじきなどを組み合わせ、動物性食品と植物性食品もバランスよく摂りましょう。これらの食品はビタミンCを含む食品と一緒に摂取することで、吸収率がアップするといわれています。
常に成長を伴う子供にとって、貧血は大きな問題です。子供の顔色や集中力など変化に気付いてあげられるように、注意してみてあげるようにしましょう。生まれてから思春期まで貧血を起こしやすい時期があるので、予防のためにも親が食生活や食事内容を意識してあげることが大切です。