記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/28 記事改定日: 2018/6/22
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
背中や肩などにこぶのようなものができた場合、それは「脂肪腫」かもしれません。では、脂肪腫とはどんな病変なのでしょうか?どこにできて、治療の必要はあるのでしょうか?ここでは、脂肪腫ができる場所とできたときの対処について説明しています。
脂肪腫というのはその名のとおり、脂肪の塊ができてしまう症状のことを言います。脂肪細胞が肥大してしまって、最初はおできのようなものだったのがだんだんと大きくなっていきます。年齢的には30歳から50歳くらいの人にできることが多く、性別では女性よりも男性に脂肪腫ができる比率が高くなっています。
脂肪腫は、脂肪のある場所なら体中のどこにでもできますが、脂肪がつきやすい部位である背中や首、肩やわき腹にできやすい傾向があります。その他にも二の腕や太ももといった場所に、脂肪腫は比較的多くできてしまうことがあります。顔や頭部にできることはほとんどありません。また表面に見えるものだけでなく、骨の近くなど身体の深い部分にできる場合もあります。自分で気付くのが難しく、病院での検査などで見つかるケースもあります。
脂肪腫の大きさは5~8cmくらいが一般的で、10cmを超えるような巨大なものになることはほとんどありません。
脂肪腫ができる直接の原因は不明ですが、何らかの原因で脂肪細胞が異常増殖してしまうためと考えられています。またストレスなどが原因なのではないかという考えもあり、詳しい原因については研究が進められているところです。
脂肪腫は腫瘍の一種なのでがんではないかと不安になる人も多いのでしょうが、悪性になることはほとんどないとされているので、一般的には放置していても問題ありません。また身体のいろいろな部分に複数できることもありますが、転移することはありません。
ただし、できてしまった場所によっては神経を圧迫してしまうことがあります。神経の近くにできてしまった場合は、押したり触ったりしたときに痛みを感じたり、血管の部分に脂肪腫ができた場合は血管にも異常が出て痛みが出たりすることがあります。こういったケースでは、病院で手術をして取り除くことをおすすめします。
またできる場所や大きさによっては、見た目が気になってしまうこともあります。その場合も、病院で取り除くことをおすすめします。脂肪腫の大きさにもよるのですが、小さければ日帰りの手術も可能なので気になる場合には医師に相談してみましょう。
脂肪腫は良性腫瘍であるため、急激に大きくなることや他部位へ転移することはありません。また、体のどこかにできても何らかの症状を引き起こすわけではないので、存在に気付いたとしても治療を受けずに放置している人も多くいると考えられます。しかし、長い時間をかけて徐々に大きくなり、見た目の問題や痛みを生じるようになることもあります。このため、直径が5㎝を越えるような脂肪腫は切除が推奨されることが多く、その場合には皮膚科や形成外科を受診するとよいでしょう。
どちらも切除する手術を行うことができますが、腕や太ももなど比較的目立つ部位にできた場合には、傷口をより目立たなくする技術に長けた形成外科がおすすめです。
脂肪腫は良性の腫瘍なので、基本的には放置しても問題ありません。ただし、脂肪腫の付近に痛みがあったり、見た目が気になったりする場合は、除去手術について一度病院で相談することをおすすめします。