突然呼吸がし辛くなる ~ 過換気症候群とは ~

2017/11/27

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

過換気症候群とは、浅い呼吸を繰り返す過呼吸で起こる症状のことであり、何度も繰り返す傾向があります。過換気症候群にはどんな症状があり、どのようにして起こるのでしょうか?この記事では過換気症候群の基礎知識として、症状や発症のメカニズムを解説していきます。

過換気症候群って何?

過換気症候群とは、精神的な不安や極度の緊張などが原因で過呼吸(浅い呼吸を過度に繰り返すこと)になり、血液が正常よりもアルカリ性に偏ってしまうことで起こる症状のことです。四肢や全身のしびれ、痙攣などが症状の一例として挙げられます。

神経質な人、不安を感じやすい人、緊張しやすい人などに起こりやすいとされ、特に若年者に多くみられます。毎日のように頻発する人もいれば、年に数回や一生に一度など、人によって発作の回数や頻度には差があります。
発作の強さにかかわらず、落ち着いてゆっくり呼吸をすることで時間の経過とともに回復し、後遺症が残ったり死に至ったりすることはないといわれます。

過換気症候群が起こるしくみとは?

パニック障害や極度の不安、緊張などにより、息を何回も激しく吸ったり吐いたりする過呼吸状態に陥ると、酸素交換が過度に行わるため、呼気の二酸化炭素量も過剰に増加します。その結果血液内の二酸化炭素濃度が下がり、血液がアルカリ性に偏る呼吸性アルカローシスが起こってしまうのです。

呼吸性アルカローシスは血管収縮や血中のカルシウムイオンの減少を引き起こすため、めまいや手足のしびれ、筋肉の硬直、痙攣などの過換気症候群の症状が現れるようになります。

呼吸中枢は血液中の二酸化炭素量を増やすために呼吸を抑えようとしますが、呼吸ができなければ酸欠になってしまうので、大脳皮質は呼吸中枢の命令に反してさらに呼吸を増やそうとしてしまいます。これがさらに浅い呼吸を繰り返す結果を招くことになり、負のスパイラルを引き起こすことになるのです。

息苦しさ以外にはどんな症状や変化が現れるの?

不安感、息苦しさ、動悸、めまいなどの特徴的な症状以外にも、テタニーと呼ばれる手足のしびれや、筋肉の痙攣や硬直症状が出て、手がすぼめたような形になります。この所見は、血圧計のマンシェットを腕に巻いて手の血流を止めるとより出やすくなるといわれています。
また、耳の前や顎の関節をたたくと顔面神経が刺激され、唇が上方にあがるクボステック徴候が現れます。

これらの症状が30分~1時間続き、なかには激しい過呼吸と無呼吸を繰り返し、意識が朦朧となることがあります。

不安以外の原因はあるの?

過換気症候群は、主に精神的な不安やストレスなど、心理的要因から引き起こされることが多いのですが、まれに肺や脳付近の病気や低気圧による気圧の変化でも起こることがあります。

特に、心筋梗塞、肺塞栓、クモ膜下出血、脳出血、糖尿病性腎症などが原因で生じている場合は注意が必要です。通常、クモ膜下出血や脳出血は頭痛を伴い、心筋梗塞や肺塞栓では胸の圧迫感や痛みが生じますが、ストレスなど精神的な原因から起こる過換気症候群でも、胸の圧迫感や頭痛が伴うことがあります。そのため、過換気症候群だと思われる場合も、一度はきちんとした精密検査をすることをおすすめします。

おわりに:過呼吸がよく起こる人は念のため病院で検査しておこう

過換気症候群は、発作が繰り返してみられることが多く、不安を感じやすい人や緊張しやすい人に多く起こります。ただし、まれにではありますが、他の病気から起こるケースもあるので、頻繁に繰り返す人は一度病院で健康状態を検査してもらいましょう。

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