切れ痔や便秘が原因!? 肛門ポリープってどんな病気?

2017/11/28

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

肛門ポリープとは、肛門の歯状線(肛門と直腸の境)にできるポリープのことです。大腸ポリープは癌に進行することがありますが、肛門ポリープが癌化することはあるのでしょうか?この記事では肛門ポリープの原因や症状、治療について詳しく解説していきます。

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肛門ポリープとは

肛門ポリープとは、歯状線という直腸と肛門の境界のところにある出っ張り(肛門乳頭)の一部が肥大化したものです。恒常化した便秘や下痢、切れ痔など、歯状線付近の慢性的な刺激や炎症に伴って発生することが多いとされます。ポリープの大きさは米粒大から親指大まで、形状も団子状、きのこ状、紐がついたように長く伸びる有茎状などさまざまです。

大きさによりますが無症状のケースも多く、また直腸ポリープや大腸ポリープと異なり、放置していても特に癌化することはないといわれます。ただし、ポリープが小さいうちは問題がなくても、大きくなると常に便意を催したり、痒みや痛み、出血を伴ったりします。薬での完治は難しく、切除するのが一般的です。

肛門ポリープの症状

肛門にポリープができますが、ポリープが中にある場合は、特徴的な症状が出現することはほとんどありません。
ポリープが外に突出していると違和感を覚えるようになり、排便をするときにポリープに便が擦れることによってポリープが傷付いて出血し、痛みを伴うことがあります。また排便時は、ポリープが常に出し入れする形になってしまうため、肛門がかぶれて痒みにつながったり、常時便意を覚えたりします。

肛門にポリープができる原因

上記でも触れたように、切れ痔(慢性裂肛)や慢性的な下痢や便秘といった歯状線付近での恒常的な刺激や炎症が、肛門ポリープの一般的な発生理由とされます。また、排便時にいきむ習慣があるとポリープが肛門から脱出しやすくなります。

切れ痔(慢性裂肛)とは、肛門の出口付近の皮膚(歯状線の下にある肛門上皮)が切れた状態で、「さけ痔」とも呼ばれます。便秘気味の人に多く見られ、肛門の出口付近が切れたり、直腸肛門部の血液循環が悪くなることが原因です。切れ痔が慢性化することで裂創が潰瘍化し、肛門の外側「見張りいぼ」が形成されます。対して、肛門ポリープは傷の内側にイボのような突起ができた状態です。「見張りいぼ」は肛門から飛び出ている場合が多いものの、定義上は肛門ポリープとは区別されます。

肛門ポリープの治療法

肛門ポリープの初期段階では、軟膏や座薬などでしばらく治療を続けます。生活習慣病からくるものなので生活指導も行われるでしょう。

症状が悪化してしまった場合はジオン注射療法や硬化療法、手術での治療が検討されます。
手術には肛門拡張手術、用指拡張手術、内括約筋切開手術、皮膚弁移動手術などがあり、大きくなったポリープは局所麻酔下で切除するケースが多いです。ただし、肛門ポリープが生じる歯状線は痛みを感じる部位なので、大腸内視鏡検査の際の切除(大腸ポリペクトミー)はできません。

慢性裂肛に伴う肛門ポリープの場合は裂肛根治手術を行い、肛門ポリープを裂肛と同時に除去します(裂肛切除+側方内括約筋切開術)。手術しても排便状態が悪くて便秘や下痢を繰り返すような場合、再発の可能性もありますが、ほとんどの人が完治するといわれています。

おわりに:肛門ポリープは手術でほとんどの人が完治。気になるときは病院に相談を

癌に発展することはほとんどない肛門ポリープと、癌化する可能性がある大腸ポリープや直腸ポリープは、鑑別が難しいことがあります。症状に自覚がなくても、肛門科専門医の診察や大腸癌検査を受けることで、発見できますので、定期的に検査してもらうようにしましょう。

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