パニック障害の診断の基準は? 症状をチェックしよう

2017/3/16 記事改定日: 2018/3/23
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

突然のめまいや動悸、震えなどを発作的に引き起こす「パニック障害」。パニック障害かどうかは、どんな基準で診断されるのでしょうか?パニック障害の特徴的な症状と併せて解説します。

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パニック障害の診断基準は?

まず、パニック障害は、突然、激しい動悸や発汗、震え、めまいが発生し、「死ぬかもしれない」という不安感に襲われる「パニック発作」を繰り返す病気です。発作は10分程度で治まることがほとんどです。

パニック障害かを診断する際に、日本ではアメリカ精神医学会が発刊しているDSM-5か、世界保健機構が発刊しているICD-10を診断基準としています。これらの診断基準を簡単に要約したものが以下になります。

・パニック発作時に、以下の症状のうち4つ以上が現れる(動悸、発汗、震え、息苦しさ、窒息感、胸痛、吐き気、めまい、寒気、感覚麻痺、離人感、抑制力を失うことへの恐怖、死ぬことへの恐怖)
・上記のパニック発作が1ヶ月以上繰り返されている
予期不安(発作の再発への不安感)がある
・パニック発作によって日常生活に支障が出ている
他の疾患が原因ではない

ただし、診断の際に上記の診断基準を厳密に守りすぎると、軽度のパニック障害の人を見落とす恐れがあるため、あくまで基準として使われることが推奨されます。

パニック障害の診断の流れ

パニック障害かどうかを診断する際には、問診が主になります。

問診では、パニック発作が起こったときの状況や精神状態、性格や考え方、睡眠状態や食生活などの生活習慣、生活背景、親族に精神疾患がいないかどうかの家族歴、既往歴や服薬歴を尋ねます。他の病気ではないか確認する目的で、血液検査や心電図検査を行う場合もあります。

パニック障害かどうかチェックしよう

パニック障害の場合、下記のような症状が現れます。当てはまる数が多く、また10分程度の発作を繰り返すようであればパニック障害の可能性が高いので、チェックしてみてください。

・心臓がドキドキすることがある
・突然が出る
・体が震えることがある
息苦しい感じがする
・喉に何か詰まったような感じがする
・胸の痛みや不快感がある
・吐き気や腹部の不快感がある
めまいやふらつきがある
・体が痺れる感じがする
・寒気や熱っぽさを感じる
・起きていることが現実ではないような感じがする
・自身の症状がコントロールできないことに恐怖を感じる
このまま死んでしまうような恐怖を感じる
・「また発作が起きるのでは」という不安を常に感じる
・電車や映画館などの特定の場所に行くと発作が起きそうで怖く、そこへ行けない

パニック障害の原因は?

身体的要因と心理的要因の複合的な結びつきによって発生すると考えられていますが、さまざまな精神疾患と同じように、パニック障害も正確なメカニズムは完全には解明されていません。

パニック障害から起こる身体的病気や身体的症状の中には、以下のようなものが挙げられます。
・僧帽弁逸脱症
・姿勢起立性頻拍症候群(POTS)
・貧血
・発作性上室性頻拍
・甲状腺機能亢進症
・糖尿病
・副腎腫瘍
・カルチノイド症候群
・ゾーリンガー・エリソン症候群

パニック障害かも。何科を受診すればいい?

パニック障害の診察や治療は、精神科や神経科、心療内科などで行います。パニック障害になると動悸やめまい、息苦しさを感じることが多いため、内科や呼吸器科を受診してしまう患者さんも少なくないですが、パニック障害は検査をしても体に異常が見つかるタイプの病気ではありません。

パニック障害は薬で治せる?

パニック障害の治療の目的は、パニック発作の回数を減らし、症状を緩和することです。 心理療法と投薬が、主な治療方法になります。

具体的に処方される薬は、パニック発作を抑える効果がある選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やベンゾジアゼピン系抗不安薬です。SSRIは少量での服用からスタートさせ、徐々に量を増やしていきます。効果が現れるのに少し時間がかかるため、即効性の高いベンゾジアゼピン系抗不安薬と一緒に服用するのが一般的です。

おわりに:パニック障害かもと思ったら、専門科を受診し診断を

いかがでしょうか。ご紹介したような症状を1ヶ月以上にわたって、何度も繰り返すようであれば、パニック障害の可能性があります。精神科や神経科などの専門科を受診し、まずは診察を受けるところから始めてください。

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