エナメル上皮腫の診断・治療法を解説!

2017/12/15

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

歯にできることのある腫瘍に、「エナメル上皮腫」。このエナメル上皮腫とはどういう特徴があるのでしょうか?診断方法や治療法と併せて解説していきます。

エナメル上皮腫とは?

エナメル上皮腫とは、歯の発生の過程でできる腫瘍のひとつです。歯の表面にはエナメル質と呼ばれる固い組織がありますが、これとよく似ていることから、命名されました。10~30代によくみられ、女性よりは男性の方が多く出る傾向があります。

エナメル上皮腫は基本的には良性の腫瘍ですが、まれに悪性になることもあります。よく出る部位としては、上顎よりも下顎に多く、前歯よりも圧倒的に奥歯の方にできやすい傾向があります。下顎の犬歯から親知らずのあたりにできることが多く、左右による差はありません。前歯にできる確率はおよそ10%以下と非常に低いです。上顎にできる確率は約20%以下で、下顎にできる確率が約80%以上と高いことが分かっています。

どんな症状があるの?

エナメル上皮腫は痛みを伴うことが少なく、さらに腫瘍の成長がゆっくりであるため、症状が進行しないと自覚することは少ないです。しかし、ある程度腫瘍が大きくなることで、顎が大きくなったり、出っ張ったような感覚が起こります。腫瘍が大きくなると、その部分の骨が吸収されてしまうので、ペコペコしたような感覚や、歯がグラグラしたり、移動して噛み合わせが悪くなってしまうこともあります。

顎の腫れについては痛みはありませんが、歯茎から出血したり、歯並びが悪くなったりと見た目から症状が進行していることが分かります。顎が出っ張ることで顔の形が変わってしまうこともありますが、初期では小さいために気付かないことがほとんどです。

どうやって診断するの?

 

エナメル上皮腫の診断は、レントゲンやCTによる画像診断を行います。レントゲン上では境界がはっきりした腫瘍が確認され、透過画像として見ることができます。歯科で撮影したレントゲンによって、偶然発見されることも多いです。

ただし、エナメル上皮腫はレントゲンだけでは他の腫瘍との区別がつかないために、病理検査といって、腫瘍の一部を切り取って顕微鏡で見ることで確定診断がされます。顎の骨ではエナメル上皮腫の他にも腫瘍が起きることがあるので、その他の病気との区別をするためにも病理検査は必要な検査になります。

エナメル上皮腫の治療法について

エナメル上皮腫の治療法には、保存的外科療法と根治的外科療法の2種類があります。

まず保存的外科療法は、腫瘍のある部分に窓を開けて、圧力を低下させて腫瘍が小さくなってから取り除く方法です。子供など若い人に適用される治療法ですが、再発の可能性が高いというデメリットがあります。

一方の根治的外科療法は、腫瘍の周りの顎の骨を切除する治療法です。症状の度合いに応じて、切除する骨の量は変わります。成人以降の患者さんに行われることが多い治療ですが、再発のリスクが低く、きちんと治したいという人に向いた治療法です。エナメル上皮腫は再発を繰り返した場合、悪性化することもあるので、根治的外科療法を選択するということもあります。医師と相談して、自分に合った治療法を選ぶようにしましょう。

おわりに:定期的な健診で、エナメル上皮腫を早期発見しよう

特に下顎にできることの多いエナメル上皮腫。放置していると歯並びの悪化につながったり、悪性腫瘍に変化したりする可能性もあるので、定期的な歯科健診を受け、早期発見・治療を心がけましょう。

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