急性腹膜炎とは ~ 急激な腹痛や吐き気を伴う病気 ~

2017/12/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

急性腹膜炎とは、腹膜という内臓を保護する膜組織に炎症が起こる病気です。激しい腹痛が特徴的な症状ですが、いったい何が原因で発症し、ほかにはどんな症状が起こるのでしょうか。この記事では、急性腹膜炎の基礎知識を紹介しています。

急性腹膜炎とは

人間の体の腹部には、肝臓といった腹部の臓器全体、または一部を覆っている「腹膜」という組織があります。腹膜の役割は、腹部臓器の動きを滑らかにし、内臓がこすれたり、ねじれたりしないように保護することです。

腹腔内は本来無菌状態になっていますが、なんらかの理由で外から腹膜に細菌感染が起こったり、物理的な刺激や化学的な刺激を受けて炎症が起こると腹膜炎になります。

腹膜炎は、急性腹膜炎と慢性腹膜炎に分けられます。急性腹膜炎はさらに、腹膜全体に炎症が広がる急性汎発性腹膜炎と、腹膜の一部に膿瘍を形成する限局性腹膜炎に分けられます。急性汎発性腹膜炎は、放置しておくと命に関わる重篤な状態に陥る可能性があるため、特に注意が必要です。

急性腹膜炎の原因

急性腹膜炎を発症する主な原因は、細菌や化学因子が体内に侵入することです。そして、その多くはさまざまな消化器疾患の合併症として起こります。急性腹膜炎は、急性虫垂炎や急性胆嚢炎、急性膵炎などの合併症として発症することが多いですが、その中でも急性虫垂炎は特に多いといわれています。

そのほか、打撲、事故の外傷、手術後などをきっかけに腹腔内の臓器に穴があいて胃液や胆汁など内容物が漏れたり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃癌などの悪性腫瘍がきっかけで、内容物が腹膜へ漏れることが原因になることもあります。また、女性の場合は流産や人工妊娠中絶、子宮内膜症によって発症することもあります。

急性腹膜炎の症状

では、急性腹膜炎を引き起こすと、体にはどのような症状があらわれるのでしょう。
急性腹膜炎の特徴は、強烈な腹痛です。局所的な痛みから始まることが多いですが、しばらくするとお腹全体に強い痛みがあらわれるようになります。お腹を触ると硬く激痛を伴い、これはショックを伴うほどの痛みともいわれています。

その他、お腹にガスがたまることもありますし、悪寒や発熱症状、嘔吐などの症状が伴うこともあります。炎症が進行すると、尿量低下、皮膚の乾燥、血圧低下などの脱水症状がみられるようになり、重症化すると意識混濁、昏睡状態といった重篤な状態や、眼球陥没、チアノーゼ、頬がくぼむなどの顔に変化が現れ瀕死状態に陥ります。

急性腹膜炎を発症したときの対処法

急性腹膜炎の治療の基本は、外科的治療(手術)です。腹膜炎を起こしている場所の臓器を切除したり、穴のあいてしまった臓器の一部をふさぎ、お腹の中をきれいに洗浄します。また、炎症によって溜まった膿があれば、その除去も必要です。

急にお腹に激痛が走ったり、症状がどんどんお腹全体に広がっていくようなことがある場合、いつもとお腹の痛さが違うと感じた場合は、早めに治療を進めないと重篤な状態に陥る可能性もあります。すぐに病院へ行き、体の状態を診断してもらうことが大切です。とくに、もともと胃や十二指腸に潰瘍ができやすい人や外傷でお腹をぶつけたなど、思い当たるふしがある場合はすぐに病院を受診しましょう。

おわりに:急性腹膜炎はすぐに治療しないと命の危険が!ひどい腹痛や痛みの範囲が拡大する腹痛はすぐに病院へ!

急性腹膜炎は、お腹の中の腹膜が炎症を起こしている状態であり、早期に治療しないと重症化し死に至る可能性があります。胃潰瘍や十二指腸潰瘍の持病がある人はもちろんですが、思い当たる原因がない場合でも、強烈な腹痛やだんだん痛みの範囲が広がっていく腹痛が現れたときはすぐに病院を受診しましょう。

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