舌小帯短縮症とは ~ 舌を出すとハートのような形になるときは ~

2017/12/12

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

舌を出したとき、先端がハートのような形をしている場合、「舌小帯短縮症」に該当します。今回はこの舌小帯短縮症の具体的な症状や治療法をご紹介していきます。

舌小帯短縮症とは

鏡を見ながら舌を出し、上唇を舐めるような形で置いてみると、舌の裏側、中央に筋のようなヒダがあるのがわかります。これが舌小帯です。舌小帯は薄い膜のような組織で、舌の動きを適度に制限する役割がありますが、この舌小帯が生まれつき短い場合や、または舌の先の方に付いている場合では舌の動きが制限され過ぎてしまい、発音や哺乳に差し支える事があります。この状態を舌小帯短縮症と言います。

舌小帯短縮症は、舌をどの程度動かせるかで重症度が判断できます。口を大きく開けたまま、上の前歯の裏側を舐めるように舌を上げてみて、口の大きさ(縦の長さ)の1/2以上まで舌が上がるようなら軽度です。口の大きさの1/2以下までしか上がらなければ中等度となります。舌が下の歯より上に上がらない、または全く動かない場合では重度と判定されます。

舌小帯短縮症は、その程度によって治療の有無や治療法が決定されます。また乳幼児期に舌症帯短縮症と言われても、程度と成長に伴う変化によっては手術や治療が不要な場合もあるので、過度に不安に思う必要はありません。

舌小帯短縮症の症状

舌小帯短縮症の症状はその程度によって異なります。

まず軽度の場合、舌を前に出してもハート形にはならず、すこし舌の先端が平坦になる程度で見た目上にもほとんどわかりません。発音にもほとんど差し支えることはなく、タ行やラ行の音を速く連続して発音するのが難しい程度です。したがって、日常的にはほとんど影響はありません。

中等度の場合、舌を前に出すとハート形になります。ソフトクリームなどを舐める動きが難しくなったり、舌を上あごにつけにくくなったり、口の横(口角部)を触るのが難しくなったりします。また、この状態では発音にも影響が出るようになります。タ行やラ行の発音は不可能ではありませんが、口を閉じ気味にして発音しなくてはならないのでくぐもった音になり、ラ行がダ行に近い音になります。また早口でしゃべることも難しくなります。

重度の場合は、舌が唇に触れる程度しか動かせません。赤ちゃんの時には舌を使って哺乳運動を行いますが、重度の場合はこの動きすら困難になる場合があります。

舌小帯短縮症の治療法

舌小帯短縮症の治療では、機能療法と手術が主に行われます。

代表的な機能療法としては、口を閉じた状態で舌を上あごにつけ、そのままの状態で口を開けていく、というものがあげられます。軽度から中等度の舌小帯短縮症の場合は、機能療法だけで症状が軽減され、十分に舌が動くようになることもあります。

この機能療法だけでは症状が残る場合、手術(舌小帯形成術)が行われます。舌小帯形成術は単に舌小帯を切るだけの手術ではなく、瘢痕拘縮(切った傷による引きつり)を防ぐ切り方や縫い方が必要になったりします。従って口腔外科を専門に行っている病院や歯科医師のもとで治療を受けることが大切です。

また、瘢痕拘縮を防ぐためには、手術後の機能療法が重要なため、手術が終わったらできるだけ早く機能療法を行うことが望ましいです。

おわりに:発音や哺乳に支障が出たら治療の検討を

舌症帯短縮症は、重症度に応じて現れる症状や影響の大きさが異なります。発音に支障が出たり、赤ちゃんの場合は哺乳がうまくできなかったりする場合、専門の医療機関にて治療を検討しましょう。

 

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