記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
2017/12/12 記事改定日: 2020/2/3
記事改定回数:1回
記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
舌を出したとき、先端がハートのような形をしているのは、舌小帯短縮症が原因かもしれません。
この記事では、舌小帯短縮症の症状や治療法をご紹介していきます。子供の舌小帯短縮症の早期発見に役立ててください。
鏡を見ながら舌を出し、上唇を舐めるような形で置いてみると、舌の裏側、中央に筋のようなヒダがあるのがわかります。これが舌小帯です。
舌小帯は薄い膜のような組織で、舌の動きを適度に制限する役割がありますが、
と、舌の動きが制限され過ぎてしまい、発音や哺乳に差し支えるが出ることがあります。この状態を舌小帯短縮症と言います。
舌小帯短縮症は、口を大きく開けたまま、上の前歯の裏側を舐めるように舌を上げたときに、舌をどの程度動かせるかで重症度が判断できます。
舌小帯短縮症は重症度によって治療が必要性や治療方法が変わります。
ただし、乳幼児期の舌症帯短縮症に関しては、成長に伴う変化で治療の必要が場合があります。乳幼児のころに舌症帯短縮症の診断を受けても、過度に不安に思う必要はないでしょう。
舌小帯短縮症の症状は、重症度によって違ってきます。
軽度の場合、舌を前に出してもハート形にはならず、すこし舌の先端が平坦になる程度で見た目上にもほとんどわかりません。発音にもほとんど差し支えることはなく、タ行やラ行の音を速く連続して発音するのが難しい程度です。
日常生活には、ほとんど影響しないでしょう。
中等度の場合、舌を前に出すとハート形になります。ソフトクリームなどを舐める動きが難しくなったり、舌を上あごにつけにくくなったり、口の横(口角部)を触るのが難しくなったりします。
中等度の状態では発音にもはっきり影響が出るようになり
といった特徴が出てきます。
重度の状態では、唇に触れる程度しか舌が動かせません。赤ちゃんのときには舌を使って哺乳運動を行いますが、重度の場合はこの動きすら困難になる場合があります。
舌小帯短縮症は早めに適切な対処を行わないと哺乳量不足や言葉の発達が遅れるなどのトラブルが起こります。子供に次のような様子が見られるときは舌小帯短縮症を発症している可能性があるため、小児科や歯科医院で相談するようにしましょう。
舌小帯短縮症の治療では、機能療法と手術療法が主に行われます。
機能療法には色々な手法がありますが、代表的なものとしては「口を閉じた状態で舌を上あごにつけ、そのままの状態で口を開けていく」方法が挙げられるでしょう。
軽度から中等度であれば、機能療法だけで症状が軽減され、十分に舌が動くようになることもあります。
機能療法だけで症状が十分に改善しない場合、舌小帯形成術の手術が行われます。
舌小帯形成術は単に舌小帯を切るだけの手術ではなく、瘢痕拘縮(切った傷による引きつり)を防ぐ切り方や縫い方が必要になります。
従って口腔外科を専門に行っている病院や歯科医師のもとで治療を受けることが大切です。
また、瘢痕拘縮を防ぐためには、手術後の機能療法が重要です。手術が終わったらできるだけ早く機能療法を始めましょう。
舌症帯短縮症は、重症度に応じて現れる症状や影響の大きさが異なります。発音に支障が出たり、赤ちゃんの場合は哺乳がうまくできなかったりしたら、舌小帯短縮症が原因かもしれません。早めに専門の医療機関に相談しましょう。