歯ぐきから膿が出てきたら要注意! 歯根嚢胞(しこんのうほう)とは

2017/12/12

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

虫歯や歯周病など、歯の病気にはさまざまなものがありますが、「歯根嚢胞(しこんのうほう)」もその一種です。今回はこの歯根嚢胞について、発症した場合の症状や原因、治療法などを解説していきます。

歯根嚢胞(しこんのうほう)とは

歯根嚢胞(しこんのうほう)とは歯根の先端に空間ができて、その中に膿がたまる状態を指します。

歯の根は歯槽骨と呼ばれる骨内に植えられるように支えられており、血管や神経を通して歯に栄養を与えることで、歯の健康な状態を保たせています。しかし細菌感染などによって歯の神経が壊死すると、その歯の根の先端に小さい空間が生じ、体内の水分や膿などの液状内容物が溜まっていきます。その嚢胞は最初は小さくても、その空間がある限り液状内容物はたまり続けて広がっていき、周囲の骨を溶かしていきます。

歯根嚢胞ができる原因

歯根嚢胞ができる主な原因は、衝撃による損傷、もしくは虫歯や歯周病などの細菌感染です。

衝撃による損傷というのは、例えば顔面を強く打った場合、その衝撃によって歯の根元がずれてしまい、空間が生まれるようになります。そこに再生液がたまることによって歯根嚢胞になることがあります。

しかし、歯根嚢胞の原因として多いのは、虫歯や歯周病などの細菌感染です。虫歯や歯周病などが発生すると、歯に穴が開いたり歯肉が下がったりすることで、細菌が入り込む余地が生まれます。すると侵入した細菌は歯根の下にある骨を溶かし、空間を広げていきます。そしてその部分に、細菌を倒すために排出された白血球などの死骸である膿が溜まることで、歯根嚢胞ができるようになります。

歯根嚢胞の症状

歯根嚢胞の症状は3段階に分かれます。

まず最初の段階では、噛んだときに痛みが生じることがありますが、通常は痛みはないため気づきにくいです。そのため、レントゲンを撮った時、初めて歯根嚢胞と判明するケースも少なくありません。

そして2段階目に入ると、細菌感染などによって発生した歯根の空間が、液状内容物によってさらに広がり、周囲の骨を圧迫しながら溶かしていきます。そのため、骨が膨らんだり、歯ぐきが腫れたりするようになります。

第3段階になると、大きくなった歯根嚢胞が、目の神経を圧迫して機能障害を起こしたり、蓄膿症を引き起こしたりするようになります。

歯根嚢胞の治療法

歯根嚢胞は、遅くとも第2段階までに治癒することが大切です。歯根嚢胞の治療法としては、第1段階であれば根管治療を行います。これは、歯を削って穴をあけた後に、その歯の奥に殺菌・抗菌効果のある薬を注入して雑菌を殺し、その後詰め物をして元の状態に戻す治療法です。

しかし、重症である第2段階以降になると、嚢胞摘出術を行うこととなります。ここでは歯肉に麻酔をした後、嚢胞付近の歯茎を切り開いて顎の骨を削ります。そして膿のたまった嚢胞を取り除いて縫合します。歯のまわりの骨が溶けてしまって、歯がぐらぐらしている場合などは、抜歯をして、空いた穴から嚢胞を除去するという治療を行います。

おわりに:歯根嚢胞によって、目の神経障害にまで発展することも!

腫れや膿が出るだけでなく、最終的には目の神経障害にまで発展する恐れのある歯根嚢胞。初期段階で治療を始めることが非常に重要なので、定期的な歯科健診を欠かさないようにしましょう。

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