マロリー・ワイス症候群とは ~ 飲酒がきっかけで発症する病気 ~

2017/11/30

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

お酒を飲みすぎてしまう方に注意していただきたい、「マロリー・ワイス症候群」という病気があります。今回の記事では、マロリー・ワイス症候群の症状や原因、治療法などについて、全般的な情報をお伝えしていきます。

マロリー・ワイス症候群とは

マロリー・ワイス症候群とは、繰り返し嘔吐を繰り返すことで食道の出口から胃の入り口である噴門部に傷ができ、そこから出血をする病気です。嘔吐をする時に腹圧がかかることで、食道や胃の噴門部の壁に強い圧がかかり、左右に強く引っ張られます。そのため粘膜が縦方向に亀裂を起こし、その部位から出血を起こします。上部消化管の内視鏡検査で粘膜裂傷を認めた場合、マロリー・ワイス症候群と診断されます。

比較的男性の発症率が高い病気であり、好発年齢は45~50歳ですが、子供の発症も報告されています。なお、マロリー・ワイス症候群による吐血は上部消化管出血のうち約4~14%を占めているとされますが、自然に治ることもあり、予後の良い病気です。

マロリー・ワイス症候群の症状

マロリー・ワイス症候群の代表的な症状は、嘔吐を繰り返した後の吐血、下血です。吐血の場合は口から大量に血液が出ますが、下血になると黒く酸化した血液が肛門から出ます。出血量はおよそ1000~2000mlと多く、大量の出血がある場合には、貧血症状による立ちくらみが見られることもあり、時には出血多量でショック状態になることもあります。

なお、通常は胸部や腹部に痛みを伴わず、あってもみぞおち辺りの軽い痛みのみです。強い痛みを伴う時には、食道の壁が全て裂けてしまっている特発性食道破裂を起こしている可能性があります。

マロリー・ワイス症候群の原因

マロリー・ワイス症候群の主な原因は、飲酒といわれています。大量のアルコール摂取によって嘔吐を繰り返し、その後吐血をするのです。しかし飲酒以外の原因で起こることもあり、食中毒や乗り物酔いなどで起こることがあります。女性の場合は妊娠中でつわりがひどく、吐き気が止まらずに繰り返し嘔吐をしていると、マロリー・ワイス症候群になることがあります。

また、マロリー・ワイス症候群は嘔吐を繰り返すような病気になった時、合併症として起こることもあります。例えば過食症なども嘔吐を繰り返すことがあるので、過食症が原因でマロリー・ワイス症候群を発症することがあります。

マロリー・ワイス症候群の治療法

マロリー・ワイス症候群を発症した場合、基本的には経過観察が行われます。嘔吐がおさまり傷のある部位へ圧力がかからなくなれば自然と止血するので、出血の影響が少ない時には止血するまで様子を見るのが一般的です。

ただし、内視鏡検査で動脈からの出血が確認され、大量出血の恐れがあると判断された場合には、内視鏡下で止血処置が行われます。血管にクリップをかけて止血する方法や、出血部位の血管をレーザーで焼いて止血する方法などがあります。出血量が多い時には、輸血をして失った血液を補います。

なお、傷の状態や全身の状態によっては、入院して輸液を行ったり潰瘍部の治療を行ったりすることもあります。また、飲酒が原因で発症したなら飲酒を控えるなど、原因を取り除くことも重要です。

おわりに:よく嘔吐する人はマロリー・ワイス症候群に要注意

お酒を飲みすぎて吐いてしまうことが多かったり、過食嘔吐の癖があったりする方は、マロリー・ワイス症候群を発症するリスクが高いといえます。嘔吐後の出血がみられた場合は病院を受診し、炎症の状態に合わせて治療方針を決めていきましょう。

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