アミロイドーシスの基礎知識 ~ 症状・診断法・治療法について

2017/11/30

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

アミロイドーシスとは、アミロイドというタンパク質の一種が臓器に沈着することで起こる病気ですが、いったいどんな症状が起こる病気で、どのような治療方法があるのでしょうか。アミロイドーシスの基礎知識をわかりやすくご紹介します。

アミロイドーシスとは?

アミロイドーシスとは、脳や心臓、腎臓、消化管、神経といった全身のさまざまな臓器にアミロイドが沈着することによって起こる病気です。アミロイドは繊維構造を持ったタンパク質の一種で、免疫グロブリンやアミロイドAなどいくつか種類があります。アミロイドーシスは異常なタンパク質が集まって沈着することが原因であることは判明してはいますが、そういったタンパク質がどのような経緯で生じるのかは、今のところ解明されていません。

全身の複数の臓器にアミロイドが沈着するものを「全身性アミロイドーシス」、ある臓器のみに沈着するものを「限局性アミロイドーシス」といい、原因となるアミロイドの種類によって細分化されています。また、種類によっては難病に指定されています。

どんな症状が見られるの?

アミロイドーシスにおいては、アミロイド沈着が起こった臓器によって現れる機能障害が異なります。以下は沈着が起こった臓器ごとの代表的な症状です。

・心臓
心臓に沈着した場合は「心アドローシス」と呼ばれ、沈着したアミロイドにもよりますが、心臓拡張障害や収縮障害、不整脈が起こり、心不全につながります。

・腎臓
腎臓でろ過を担う糸球体にアミロイドが沈着すると、タンパク尿やむくみなどが見られるネフローゼ症候群を発症し、腎不全に至ります。

・消化管
消化管への沈着で見られるのは、嘔吐や下痢と便秘の繰り返しといったいわゆる胃腸症状です。腸閉塞が引き起こされることもあります。

・末梢神経
起立性低血圧やしびれ、麻痺、排尿の異常などが現れます。

・脳
脳アミロイドーシスはアルツハイマー型認知症を引き起こすとされています。

アミロイドーシスの診断法について

アミロイドーシスの診断では、まず採血・採尿やX線、エコー、内視鏡といった検査で沈着が疑われる臓器を詳しく調べます。さらに、アミロイドーシスの確定診断のためには、症状が現れている臓器の生体検査が必要です。皮膚、口唇、胃十二指腸粘膜、直腸粘膜、心筋などから組織を採取し、コンゴーレッドという色素で染色してから顕微鏡で観察します。アミロイド沈着がある場合は桃赤色が確認でき、偏光顕微鏡下では特徴的な黄緑色を示します。

また、近年では腹壁の脂肪吸引生検が多く行われるようになりました。お腹に麻酔をしてから注射器で脂肪を吸引し、顕微鏡での観察でその脂肪にアミロイド沈着が認められればアミロイドーシスと診断されます。

どんな治療法があるの?

これまでのアミロイドーシスの治療は、アミロイドが沈着したために症状が現れているそれぞれの臓器に対しての対症療法が中心です。しかし現在では、アミロイドの種類にもよりますが、症状を悪化させるアミロイドの生産を抑制する薬剤を用いた根本治療が試みられています。

また、「家族性アミロイドポリニューロパチー」という遺伝性のアミロイドーシスにおいては、アミロイドのもととなるタンパクが肝臓で生み出されているため、肝移植が有効とされます。このタイプには、有効な薬剤を投与する治療も行われています。

現在も有効な根本治療法が見つかっていない種類のアミロイドーシスもありますが、日夜研究は進んでおり、アミロイドに対するワクチン療法等も治験が進んでいます。

おわりに:早期発見のためにも、早めに病院に相談を

アミロイドの生産を抑える薬が試されることもありますが、現在のところは治療の中心は対症療法が中心です。そのため、深刻な症状に発展しないうちに適切な治療を始めることが非常に重要になってきます。どのような病気にも言えることですが、早期発見のためにも、何か不安な変化を感じたら早めに病院に相談するようにしましょう。

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