糖尿病性腎症の原因と治療法を知ろう!

2017/11/30

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

糖尿病性腎症とは、糖尿病の3大合併症のひとつです。末期には人工透析や腎移植が必要になってしまうため、発症を予防することが重要になってきます。この記事では、糖尿病性腎症の原因と治療についてまとめているので、予防に役立ててください。

糖尿病性腎症について

糖尿病性腎症は、糖尿病の三大合併症のうちのひとつに数えられます。「糸球体」と呼ばれる腎臓のろ過機能の毛細血管が壊れたり詰まったりすることにより、老廃物を排出することができなくなる状態です。腎臓が機能しなくなることで尿中にアルブミン(タンパクの一種)が見られるようになり、低タンパク血症やむくみといった症状が現れる「ネフローゼ症候群」になってしまいます。

糖尿病性腎症は第1期から第5期に分類され、初期はほとんど自覚症状がありません。しかし、微量アルブミン尿が認められるようになると症状はどんどん進み、第3期ではむくみ・息切れ・胸苦しさ・食欲不振・満腹感などが現れます。第4期では・手のしびれや痛み・腹痛・発熱などが現れたのち、第5期では腎臓がほぼ機能を果たさないために透析療法や腎移植が必要になります。

糖尿病性腎症の原因とは?

糖尿病にかかって高血圧の状態が長期間続くと、体の組織のタンパク質が血中のブドウ糖と結合した物質が増加し、細い血管を傷つけます。そのため、全身の動脈が次第に硬くなっていきます(動脈硬化)。特に細い血管の多い腎臓の糸球体は傷つきやすく、最終的には血管が破壊され、機能しなくなってしまうのです。

健康な体であれば摂取したものは左右の腎臓でろ過され、必要なものと必要ないものに分けられたあと、不要なものは尿として排出されます。しかし、糸球体の毛細血管の破れや詰まりなどによって腎臓でのろ過ができなくなると、尿にタンパク(アルブミン)が漏れ出したりするようになったり、尿として老廃物を排出することもできなくなったりします。

病状を悪化させないためには?

残念ながら、糖尿病性腎症を完治させたり、進んだ症状を元に戻したりする方法は今のところありません。糖尿病性腎症の治療においては、病状を進行させないための対処が行われます。以下は代表的な治療法です。

・血糖値管理
糖尿病性腎症の主な原因は高血糖であるため、食事療法や運動療法(第2期まで)、インスリンなどにより、血糖値をコントロールする方法を試みます。特に第4期までは効果的です。

・食事療法
塩分や糖質、飽和脂肪酸を控え、炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルをバランスよく含み、味付けを薄くした糖尿病食を中心とした食生活を心がけます。過食も避けなければなりません。

・運動制限
初期では運動が推奨されますが、第3期以降は制限されます。

おわりに:予防と悪化防止のためには、適切な血糖値のコントロールが重要

糖尿病性腎症を合併してしまうと、もとの健康な状態に戻すことはできません。そのため、発症の予防には血糖コントロールが重要です。これは既に発症してしまった人に対しても当てはまります。医師と相談しながら生活習慣を改め、適切な血糖コントロールを続けていきましょう。

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