記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/6
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
下血とは、便の中に血が混ざって出てくることであり、何らかの体のサインとして現れる症状です。この記事では、下血にはどんな種類があり、どんな原因があるかについて解説していきます。
下血とは基本的に消化管から出血することにより、便に血液が混ざった状態で肛門から排出されてしまう症状のことです。そして下血したときの血液の色によって、どの消化管からの出血かがある程度予想がつきます。
例えば鮮血便と呼ばれる赤色の場合は肛門に近い場所での出血の可能性が高く、タール便と呼ばれる黒色の場合には肛門から離れた上部消化管からの出血の可能性が高いです。
また肛門から血が出ることは下血といい、血を口から吐くことを吐血といいますが、下血の場合はこのすべての消化管(口、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肛門)のどれかが出血することが原因となり得ます。また吐血については上部消化管(食道、胃、十二指腸)から出血した場合となります。
下血は1度だけの場合や間隔をあけて出るもの、常に下血するなどさまざまで下血の量についても一定ではありません。
下血の原因は多岐にわたっています。もっとも多い原因のひとつには痔があり、鮮やかな赤色の血が出ます。その他に考えられる原因としては、虚血性腸炎、腸炎(感染性・薬剤性)、大腸憩室症、大腸癌、大腸ポリープなどが挙げられますが、どれも消化管からの出血によるものとなります。
短時間で大量の血便が出たり、血液の塊(凝血塊)が見られる場合には血圧が低下し、心拍数が上がるなどの体の変化がみられます。
下血の原因はさまざまですので、もし下血がでたときは原因を調べるための検査が必要となります。できるだけ早く病院で検査を受けるようにしましょう。
病院ではまず問診で血便の色などを詳しく聞き、直腸診で直腸癌の疑いがあるしこりの有無を確認したり、内視鏡検査やX線(レントゲン)検査、超音波検査、CT検査を必要に応じて行います。
治療方法については出血の部位や下血の原因となる病気により異なります。癌が原因であれば原則的に手術となり、大腸ポリープの場合にはポリープの切除をします。また、潰瘍や胃炎、腸炎などの場合には基本的に絶食をして消化管を休ませ、止血剤や制酸剤などを併用して回復を早めるように促すこともあります。
痔の場合には症状にあわせて塗り薬や注射、手術などの治療法が選択されます。いずれの治療の場合にも大量の出血があれば輸血や鉄剤の投与を行うことがあります。
下血の裏には深刻な病気が隠れている可能性がありますので、出来るだけ早く病院で検査を受けましょう。また大量の血便が見られる場合には、心拍数の上昇や血圧の低下という身体的変化が起こり危険な状態に陥る可能性もあります。すぐに病院へ行くようにしましょう。
下血は予防をする事が出来ませんが、下血の原因となる病気については生活習慣を改善すること予防できる場合があります。こまめにストレスを解消するようにし、禁煙に励み、バランスの取れた食事をとるように心がけましょう。また、規則正しい生活を過ごし、睡眠も十分とるようにしてください。