十二指腸潰瘍の原因と治療方法について

2017/12/1

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腹痛や嘔吐、下血などさまざまな辛い症状を引き起こす「十二指腸潰瘍」。この十二指腸潰瘍は、何が原因で引き起こされるのでしょうか?また、治療はどのように行われるのでしょうか?

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十二指腸潰瘍の症状

通常、胃と腸を結ぶ十二指腸の内側の粘膜には、胃酸や胃液によって傷つかないための保護機能があります。しかしその保護機能が、ストレスや生活習慣、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)や非ステロイド系抗炎症薬などの様々な影響を受けて低下したために、粘膜に傷がついて潰瘍を起こしてしまうことがあります。これが十二指腸潰瘍です。

十二指腸潰瘍は、比較的若い人に多いとされていますが、近年では年齢に関係なく症状を訴える人も増えています。主な症状としては、空腹時や食後に胃のあたりがしくしくと痛むのが一般的です。ほかにも、不快感や吐き気や食欲不振、更に悪化すると吐血や下血する場合もあります。

十二指腸潰瘍が起こる原因

 

十二指腸潰瘍が起こる原因は様々で、ストレスや生活習慣の乱れ、アルコールの過剰摂取、抗菌薬などの薬剤が影響していると考えられています。また、近年では潰瘍の原因として、ピロリ菌が注目されています。これらの要因によって、十二指腸内の防御機能が攻撃され、バランスを崩すことで、十二指腸潰瘍は発症すると言われています。

治療方法

十二指腸潰瘍は、薬剤による治療で治るケースが殆どです。処方される薬剤の種類は、胃酸分泌抑制薬や胃粘膜保護薬などです。なお、薬剤による治療の際には、しっかり医師の指示に従って薬を服用してください。症状が軽減したからといって、医師への相談無しに自己判断で薬の服用を止めてしまうと、せっかく治りかけていた潰瘍が悪化する可能性もあります。処方された薬は、最後までしっかり服用しましょう。また、一旦治ったとしても、再発する場合もあり、更に薬の服用を継続する必要が出てくる場合もあります。治療中も治療後も、定期的に医療機関を受診して、こまめに医師に相談するようにしましょう。

また、潰瘍の原因がアルコールやストレスなど、はっきりしている場合は、治療薬に加えて原因を取り除くことが重要です。ピロリ菌に感染している場合には、ピロリ菌の除菌が行われます。

ほかに、潰瘍から出血が見られるような場合は、内視鏡を使用して止血治療が行われることがあります。患部へ止血剤を注入したり、クリップやレーザーを使用するなど、止血方法は症状に応じて異なります。

生活習慣や食習慣で気をつけること

十二指腸潰瘍の原因は様々ですが、日常生活の中で意識することで予防できる場合もたくさんあります。

例えば、喫煙やアルコールの過剰摂取、空腹時のカフェイン飲料の摂取は粘膜への刺激となり、防御機能が低下する原因となるので控えましょう。また、規則正しい食生活や十分な睡眠、適度な運動など、基本的な生活習慣の改善によっても、十分予防につながります。また、日頃からゆとりを持った生活を心掛け、自分なりのストレス発散法を見つけて、余計なストレスをため込まないようにしましょう。

おわりに:生活習慣を見直して、十二指腸潰瘍の発症リスクを下げよう

十二指腸潰瘍はピロリ菌の感染によって引き起こされることもありますが、過度なストレスや生活習慣の乱れも、発症原因のひとつと考えられています。未然に予防するためには、お酒の飲みすぎや喫煙習慣など発症リスクを高めることは控え、生活習慣を見直すことが重要です。

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