遊走腎とは ~ 痩せている女性は注意!!

2017/12/4

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

特に痩せ型の女性で、右の脇腹あたりの痛みが続いている場合、「遊走腎(ゆうそうじん)」の可能性があります。では、遊走腎とはどんな病気なのでしょうか?症状や原因、治療法など、全般的な情報をまとめました。

遊走腎とはどんな病気か

遊走腎(ゆうそうじん)とは、腎臓が普通の位置よりも下がっている状態のことです。20歳から40歳くらいの、痩せ型の女性に多くみられます。

そもそも腎臓は腰の周りに位置する臓器で、左右両側に一つずつありますが、腎臓の位置は呼吸や体位など体の動きに合わせて、約2~5cmの範囲で上下に移動します。しかしたまに、この範囲を超えて移動してしまうケースがあり、酷い場合は腎臓が骨盤の中に入り込む事もあります。通常、腎臓は動脈と静脈の二本の血管だけで固定されていて、周囲の脂肪や筋肉で囲まれる事でその位置を保っているのですが、痩せ型の女性は腎臓周囲の脂肪が少なく、腹部の筋力も弱いために腎臓の位置が下垂し、遊走腎の状態を引き起こすことがあります。そしてこれによって血管が引っ張られたり尿管が折れ曲がったり、他の臓器を圧迫したりして、様々な症状が出る事があるのです。

遊走腎の原因とは

遊走腎の原因には、先天性のものと後天性のものがあります。

先天性の場合は、腎臓を支える腎繊維被膜や、脂肪被膜、腎筋膜などの組織が弱い場合や、腎臓への血管が長い場合などに発症することがあります。一方、後天性の場合は、腹筋の弛緩による腹圧の低下や腎周囲の脂肪組織の低下が原因として挙げられます。なお、痩せている人は腎臓を支える腹膜と脂肪が薄いために、その分下垂が起こりやすくなります。ほかに、出産によって腹筋が弱くなった事がきっかけで遊走腎を発症する場合もあります。

遊走腎の症状

遊走腎でも自覚症状がない人が10~20%と言われており、健康診断の際に血尿やたんぱく尿が見つかり原因を調べると、遊走腎が判明するケースも少なくありません。最もよく現れる症状は、背部痛やわき腹から側腹部にかけての疼痛です。遊走腎は右の腎臓に起こる事が多いので、痛みも右側に起こる場合がほとんどです。長く歩いたり、重い荷物を持った時に痛みが強くなる事があります。

また、尿管や膀胱が圧迫される事によって、排尿困難、頻尿、残尿感が起こる事もあります。他に不定愁訴として、頭痛、耳鳴り、倦怠感、食欲不振、吐き気、下痢、便秘、腹部膨満感、胃腸障害などが起こることがあります。

遊走腎の治療方法

遊走腎によって痛みが出た時は、横になると楽になる傾向があります。ただ、痛みが酷い場合は医師に痛み止めを処方して貰いましょう。

なお、以前は腎臓を固定する手術も行われていましたが、固定しても下垂が残り、完全には自覚症状が治まらない事もあり、現在は症状や水腎症などの合併症がなければそのまま経過観察し、症状がある場合は保存療法と理学療法を行うのが一般的です。

具体的な治療法としては、腎臓周囲の脂肪を増やして腎臓を支える力を強化させる為に、適度なカロリーを摂取するように食生活を見直したり、また腹筋、背筋を強化し、腹壁の緊張を保持するために、運動療法を行ったり、コルセットなどを使用したりします。

また、普段から、過度なダイエットなどをして痩せすぎないようにする、長時間立ち続けない、ウエストを締め付けないようにする、という日常の生活対策も必要となります。

おわりに:疑わしい症状が出ているときは早めに医師に相談しよう

ご紹介したような症状が出たり、該当箇所に違和感、痛みなどがある場合は、医師の診断を受けるようにしましょう。遊走腎は、腎臓内科か泌尿器科が専門となります。

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