遺伝性の病気「多発性嚢胞腎」について

山本 康博 先生

記事監修医師 東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

遺伝性の腎臓病として症例の多いものに、「多発性嚢胞腎」という病気があります。今回の記事ではこの多発性嚢胞腎について、症状や発症の原因、治療法などを解説していきます。

もくじ

多発性嚢胞腎とはどんな病気か

多発性嚢胞腎とは腎臓に嚢胞(水膨れ)ができ、徐々に腎臓の機能が低下していくという病気です。遺伝性の病気で、患者数は全国におよそ3万人ほどと言われています。

多発性嚢胞腎は遺伝子の種類によって「成人型」と「小児型」に分かれますが、多くの場合は成人になるまで発症しない成人型です。子供のころに発症する小児型は稀ですが、症状が重くなる傾向があります。

何が原因で発症するのか?

多発性嚢胞腎の原因は、遺伝子の異常です。両親のどちらかから遺伝して発症します。遺伝子検査で遺伝子の異常を調べたり、超音波検査やCT検査で嚢胞の有無を調べたり、血液検査で腎機能を調べることによって、多発性嚢胞腎かどうか確認することができます。

症状について

初期の段階では特に症状はありませんが、腎臓の嚢胞が増加するにつれてお腹が張るようになります。また腎臓の機能が低下する為、食欲不振やお腹の痛み、高血圧、疲労感や血尿、発熱が起こる場合もあります。多発性嚢胞腎が進行すると、肝臓や膵臓、肺にも嚢胞ができ、最終的には慢性腎臓病になります。

合併症として、成人型の患者のおよそ10%に見られるのが脳動脈瘤です。脳動脈瘤とは、脳の血管の一部が膨れている状態で、場合によってはくも膜下出血を引き起こします。また、尿路結石や尿路感染症などを発症することもあります。

治療方法は?

現在、多発性嚢胞腎を完治させる治療法は見つかっていません。そのため、腎機能の低下を遅らせる対症療法を中心に治療が行われます。

ただ、薬剤の投与などによって、高血圧症や尿路感染症をきちんと治療すれば、機能低下を遅らせることができる可能性はあります。また、利尿作用のあるV2受容体拮抗薬には、体内の水分を排出することで腎嚢胞の増大を抑え、病の進行を遅らせる効果が期待されています。

なお、多発性嚢胞腎が進行し、重度の腎不全になってしまった場合は、透析や腎臓移植を行う必要があります。

おわりに:気になる症状があるときは早めに病院へ

多発性嚢胞腎は、初期の段階では自覚症状がありませんが、嚢胞が大きくなるにつれて徐々に症状が現れます。重症化してしまうと透析や腎臓移植が必要となってしまうので、早期に発見できるよう、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

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