記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/7
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
人間ドックなどで発見されることのある腫瘍のひとつ、「腎血管筋脂肪腫(AML)」。この腎血管筋脂肪腫は、悪性化することはあるのでしょうか?以降で詳しく解説していきます。
腎血管筋脂肪腫とは、主に腎臓部分に発生する、筋肉や脂肪、血管などから構成された腫瘍です。殆どの場合が良性ですが、稀に悪性化することがあります。
腫瘍がまだ小さいうちは経過観察をすることが多いですが、既に大きくなってしまっている場合には、腹部に圧迫症状が出たり、出血したりといった症状が発生することがあります。
腎血管筋脂肪腫には散発性のものと単発性のものがありますが、いずれもはっきりとした発生原因は解明されていません。ただ、「結節性硬化症」の合併症として発生することが稀にあります。ちなみに結節性硬化症の合併症として発生する腎血管筋脂肪腫を「TSC-AML」、結節性硬化症とは関係ない腎血管筋脂肪腫のこと「S-AML」と呼びます。
この結節性硬化症とは皮膚や腎臓、骨など、体のさまざまな部分に腫瘍ができる病気のことです。日本では難病にも指定されています。殆どの場合が良性の腫瘍で、「過誤腫」とも呼ばれています。患者さんによって進行具合は異なりますが、大きな問題もなく日常生活を送ることができる場合が多いです。また、症状がまったくないため、自身が結節性硬化症を発症していることに気づかない人もいます。
腎血管筋脂肪腫では、はっきりとした自覚症状が現れることはあまりありません。人間ドックやエコー検査をして、はじめて分かったという方もいるほどです。ただ、腫瘍がまだ小さいときには腎臓機能に問題を与えることはありませんが、腫瘍が大きくなってしまうと、腎臓機能に支障をきたし、出血や血尿などが出ることもあります。
一方、結節性硬化症の合併症で発生する場合では、幼いうちに腎血管筋脂肪腫が現れやすい傾向があります。特に発生しやすいといわれているのが小学生頃で、急に大きくなってしまうこともあります。
腎血管筋脂肪腫ではエコー検査やMRI検査、CT検査などの検査が行われています。先ほども述べたように、腎血管筋脂肪腫は自覚症状が現れることが少ない病気です。病気に気づくには、定期的に検査を受けることが大切です。
腎血管筋脂肪腫の治療方法には、薬物治療と手術療法の2種類があります。薬物治療では薬を使い、腫瘍を小さくします。一方で、手術療法では腫瘍と腎臓の一部を切除します。
腫瘍が既に大きくなっている場合には、「動脈塞栓術」という治療方法が用いられます。これは腫瘍を壊死させ、小さくすることを目的に行われる治療方法です。
腎血管筋脂肪腫は良性のものがほとんどですが、まれに悪性のものもあります。発生原因もよくわからず、また発生しても自覚症状が乏しいので、定期的にCT検査やMRI検査などを受けることをおすすめします。