記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/4 記事改定日: 2020/6/11
記事改定回数:2回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
排尿痛や血尿などを引き起こすことのある「尿路感染症」。尿路感染症が起こる原因は男女で違いがあるのでしょうか。発症を予防する方法や治療法について、以下の記事でわかりやすく解説していきます。
尿路感染症とは、腎臓から体外へ排出されるまでの尿路で起こる感染症のことを意味します。尿路とは尿の通り道で、感染症が起こる場所によって、腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎など、病名や症状などが異なります。
尿路感染症の原因の多くは、腸内にいる大腸菌やクラミジアなどの細菌感染です。これらの細菌が尿の出口から逆行して発症する場合が多いとされます。感染の原因となる菌は、主に腸や膣から尿路へ侵入した大腸菌などの細菌ですが、ウイルスや寄生虫などが原因となる場合もあります。
男性は陰茎の先端部、女性は尿道の開口部から微生物が侵入します。そして入り込んだ微生物は尿路を通り、膀胱や腎臓に到達し感染します。
尿路感染症は、感染症を引き起こす細菌が尿路に侵入することで引き起こされます。こういった細菌性尿路感染症を起こしやすくなる原因としては、結石などによって起こる尿路の閉鎖、性行為、導入カテーテルなどの挿入、血流感染症などが挙げられます。
そして、尿路感染症が起こりやすくなる要因は、下記のような尿路感染症の種類によって異なります。
膀胱炎は、尿路感染症のひとつです。膀胱炎にかかりやすいのは、若くて性に活発な女性とされます。男性の尿道は女性の尿道よりも長いため、細菌が侵入しても膀胱まで届きにくくなっていますが、女性の尿道は男性に比べて短いため、細菌が膀胱に達しやすい傾向にあります。
菌は排尿することで流されますが、排尿の我慢や免疫力の低下、ストレスや過労などが原因となり、膀胱炎を引き起こすことがあります。
尿道炎は、男性がなりやすい尿路感染症といわれています。感染リスクを挙げる主なものは、性行為といわれています。
尿路感染症で最も深刻な、腎盂腎炎という病気があります。腎盂腎炎は20代~40代の女性がなりやすいとされます。特に妊娠中は、尿管が子宮に圧迫され尿の流れが妨げられるため、腎盂腎炎にかかるリスクが高くなるといわれています。
尿路感染症は性行為によって感染することがあります。特に男性の場合では、女性の性器に付着した原因菌がダイレクトに尿道に入り込むことがあり、発症リスクが高くなります。
クラミジアや淋菌などの性感染症によって尿道炎を生じることもあり、性感染症自体が尿路感染症の原因となることも少なくありません。
このため、尿路感染症や性感染症を発症している間は他者に感染させないよう注意が必要です。性行為前の入浴やコンドームの使用、オーラルセックスを控えるなどの十分な対策をとるようにしましょう。
尿路感染症が疑われるときは次のような検査が行われます。
尿路感染症を発症すると、体内で強い炎症が引き起こされるため、発症が疑われるときは血液検査で炎症の程度を評価する必要があります。また、血液検査で腎機能の状態を確認することもあります。
尿を顕微鏡などで詳しく調べる検査です。尿路感染症では尿の中に細菌類、白血球や赤血球などの細胞が多く含まれるようになります。
また、治療方針を決めるために尿路感染症を引き起こしている細菌の種類を特定すべく、尿中の細菌を培養したり、尿中の細菌に効く抗生剤を調べる検査が行われることも少なくありません。
尿路感染症は、尿管結石などの病気が原因で引き起こされることもあります。腎臓や尿管、膀胱などの尿路の状態を調べるため、超音波検査やCT検査などが行われることがあります。
尿路感染症の治療では、主に抗生物質を使用します。しかし、尿路に異常が見られる場合は手術が必要になる場合もあります。
子供からお年寄りまで、男女問わず発症することのある尿路感染症。排尿を我慢する習慣があったり、ストレスを溜めすぎていたり、不衛生な状態で性行為をしたりすると、さまざまな尿路感染症を引き起こしてしまう可能性があります。種類ごとの発症原因を避け、予防に努めましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。