記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/8 記事改定日: 2019/4/4
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
脊椎圧迫骨折とは、何らかのきっかけで背骨の椎体部分がつぶれて変形してしまい、痛みなどの症状を現す骨折のことです。この骨折が原因で背骨が大きく曲がったり、寝たきりの原因になることがあります。
この記事では脊椎圧迫骨折の原因や体に及ぼす影響、予防方法について解説していきます。
脊椎圧迫骨折とは、重いものを持ったときやしりもちをついたときなどをきっかけに、脊椎が押しつぶされたように変形してしまう骨折のことです。
脊椎圧迫骨折の主な原因は、骨粗鬆症などで骨が弱っていることであり、別名骨粗鬆症椎体骨折と呼ばれることもあります。加齢と共に発症率が高くなるため、高齢者の増加傾向にある日本では患者数も増加しています。
弱っている背骨(椎体)は、くしゃみをしたり寝返りをうったりなど、ちょっとした日常動作で骨折してしまいます。
また骨粗鬆症以外にも、腫瘍の転移や極端に強い負荷がかかることが原因になることもあるため、若いからといって安心はできません。
症状は、軽度のものから重度のものまで様々で、痛みを感じない人もいれば激しい痛みで歩いたり立ち上がったりできなくなってしまう人もいます。
脊椎圧迫骨折をした直後は、骨折した部位に痛みを感じますが、骨粗鬆症が原因のものに関しては、そこまで痛みが強くならないこともあるため、発見が遅れるケースもあるようです。
圧迫骨折自体の症状ではありませんが、圧迫骨折は寝たきりの原因になることもあります。
これは、健康な背骨であれば構成している24個の椎体がバランスを保つことで体の重みをうまく支えることができますが、圧迫骨折で複数の椎体が変形してしまうと背骨がひどく曲がってしまう円背になってしまい、身長が低くなったりバランスがとりにくくなり歩行に支障をきたすようになってしまうからです。
また、腫瘍が原因の圧迫骨折は痛みが強く、体を動かしているときよりも安静にしているときのほうが痛みが強い傾向があるようです。
そして強い負荷がかかった外傷性の圧迫骨折の場合は、脊髄の損傷を伴うケースが多いため、両脚の麻痺など重篤な症状に発展することがあります。
脊椎圧迫骨折が骨粗鬆症による軽度のものであれば、コルセットなどを使用して安静にすれば大体約1ヵ月ほどで骨が形成されていき、痛みも治まってきます。しかし、重度の圧迫骨折になると脊椎固定術やセメント固定術などの手術が必要になる場合もあります。
その他、薬物療法では、アセトアミノフェンなどの痛み止めや骨の吸収を抑える薬カルシトニンなどが処方されることもあります。
脊椎圧迫骨折を予防するには、当然ながら転倒や事故を防ぐことも大切ですが、骨粗鬆症を予防・改善することが重要です。
骨粗鬆症は閉経に伴って女性ホルモンが減少することで発症しやすくなります。このため、特に中年以降の女性は、骨を丈夫にするカルシウムやビタミンDを積極的に摂取するようにしましょう。また、適度な運動や日光に当たることも大切です。
しかし、これらの対策を行っても骨粗鬆症の発症を予防しきれない場合もありますので、定期的に骨密度健診などを受けて、骨粗鬆症の早期発見・早期治療につなげるようにしましょう。
脊椎圧迫骨折の原因や治療法などについてご紹介してきました。脊椎圧迫骨折を放っておくと、背骨全体のバランスが崩れ他の脊椎に大きな負担がかかってしまい、歩行などに支障をきたして次の骨折を引き起こしてしまう確率が高くなります。背中や腰などに痛みを感じた場合は、早めに診察を受けるようにしましょう。