低血糖症状を招く「インスリノーマ」ってどんな病気?

2017/12/7

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

インスリノーマは、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞が腫瘍化したものです。低血糖が長時間続いたり、極度の低血糖を引き起こし、ときには深刻な状態に陥ることもあります。この記事ではインスリノーマについて解説しています。

インスリノーマとは?

インスリノーマとは低血糖症を引き起こす代表的な疾患の1つであり、膵臓ランゲルハンス島でインスリンを産生しているβ細胞が腫瘍化して起こります。約9割が良性とされ、悪性のものは腫瘍を摘出することで改善が見込めるといわれています。

インスリノーマを発症すると、毎食前や夜間などの空腹状態のときに、冷汗、動機、頻脈、手の震えなどが現れます。これは、インスリノーマを発症すると低血糖になりやすく、それに自律神経が反応する事でこういった症状が現れると考えられています。インスリノーマで血糖が低下すると脳への糖供給が不足するため、放置すると痙攣や昏睡状態に陥る恐れもあるのです。

低血糖になってしまう原因

人間の血液中には糖が含まれていて、これが血糖値と呼ばれる数値に現れます。血糖値は食事をとる前と後とで大きく変わりますが、血糖値があがるとインスリンが分泌され血糖値が下がり、血糖値が下がるとインスリンの分泌は抑制される仕組みになっているため、健康体であれば血糖値は一定の範囲内でコントロールすることが出来ています。

しかし、インスリノーマという腫瘍ができると血糖値が下がってもインスリンの生産を続けます。これにより、血糖値がどんどん下がり続けてしまい低血糖症を引き起こすことになります。

インスリノーマに見られる症状は?

インスリノーマになると低血糖の状態が続いたり、極度の低血糖になったりします。この状態は、混乱や健忘、かすみ目などの症状を引き起こします。さらに低血糖が進んで症状が進行すると、朦朧とした状態になり意識消失が起こることもあります。

また、インスリノーマを治療しないでいると脳の働きが弱まってしまい日常生活に影響が出るようになりますが、特に食事をとっていない時間が続くとその症状が顕著になります。一時的に血糖値を上昇させることで症状を緩和させられる可能性もありますが、治すにはインスリノーマ対する直接的な治療が必要です。

インスリノーマはどうやって治療するの?

インスリノーマが出来た後に根本的な治療を行うにはインスリノーマ自体の切除が必要になります。状態に応じて膵臓の一部摘出全摘、十二指腸の一部を切除する場合もありますが、手術の成功率は高く摘出後は症状の改善が見込めます。

ただし、切除ができない場合や切除が不完全だった場合は、ジアゾキシドを内服でインスリンの分泌を減らす措置が行われます。またオクトレオチドの注射が有効な場合もありますが、いずれにしても治療が遅れると昏睡状態に陥る恐れがあるので、早期に発見することが重要です。

おわりに:低血糖の症状に気づいた場合は、すぐに病院で検査を

低血糖は、長時間続くと昏睡状態になることもある危険な状態です。糖をとるなどして一時的に血糖値を上昇させることで症状を抑えることはできるかもしれませんが、根本解決にはなりません。低血糖を引き起こす病気は他にもあるので、まずは病院を受診し、原因を究明しましょう。インスリノーマが原因の場合は、医師と相談しながら適切なタイミングで治療を行うようにしてください。

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