男女によって違う、排尿障害の原因やしくみとは?

2017/12/14

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

頻尿や残尿感など、排尿に関するトラブルが現れる「排尿障害」。この排尿障害の発症原因は、男女で異なることがあります。詳しい違いについて、以降で解説していきます。

排尿障害とは

排尿障害とは、膀胱・尿道、神経の病気などさまざまな原因によって、排尿トラブルが生じる症状です。排尿障害を発症すると、排尿しようとしてもすぐに尿が出なかったり、排尿が途中で途切れたり、尿を出し切るまで時間がかかったり、残尿感が残ったり、といった排尿に関する支障が現れます。

排尿障害は、男女ともに加齢に伴う筋肉量の低下や尿感結石などが原因で発症することがありますが、男性と女性で起こりやすい原因は異なることがあります。具体的には以降で解説していきます。

男性に多い排尿障害の原因

男性に多い排尿障害の原因としてまず挙げられるのが、「前立腺肥大症」です。前立腺は膀胱の出口にあり、精液の一部をつくっている男性特有の臓器です。この前立腺が肥大し、尿道を圧迫して排尿障害を起こす病気を前立腺肥大症といいます。加齢と男性ホルモンの影響で発症すると考えられており、40 歳前後から徐々に発症数が増える傾向にあります。

前立腺肥大症を発症すると、残尿感が出たり、排尿がスムーズにいかなくなったり(尿閉)、排尿を我慢できなくなる蓄尿症状が現れたりします。

もうひとつの原因として挙げられるのが、「過活動膀胱」です。過活動膀胱とは、膀胱炎などの原因疾患がないにもかかわらず、頻尿や突発的な尿意に襲われるといった症状が現れる疾患です。過活動膀胱の発症者数は男女とも年齢に伴い増加傾向にありますが、特に50~70歳代では男性の方が多い傾向があり、これには前立腺肥大症の発症が関連していると考えられています。

女性に多い排尿障害の原因

女性に多い排尿障害の原因として挙げられるのが、「腹圧性尿失禁」です。腹圧性尿失禁とは、立ち上がったときや咳、くしゃみをしたときなどに、腹圧がかかることによって起こる尿失禁です。妊娠、出産によって骨盤底筋がゆるむことで、子宮や膀胱の位置がずれ、腹圧が低下することが主な発症原因とされています。

また、この骨盤底筋のゆるみによる子宮脱や膀胱脱(子宮や膀胱が体の外に飛び出してしまう疾患)も、更年期以降の女性に多くみられる疾患で、排尿障害を引き起こす原因のひとつといわれています。

ほかには女性の場合、急性膀胱炎や子宮筋腫によって排尿障害を発症するケースも少なくありません。急性膀胱炎とは、膀胱内への細菌感染が原因で発症するもので、日常的に排尿を我慢していたりすると発症することがあります。発症すると、排尿痛や頻尿、残尿感、血尿などがあらわれます。また、子宮筋腫は子宮にできる良性筋腫で、筋腫が大きくなると排尿障害だけでなく経血の増加や月経痛の悪化がみられるようになるのが特徴です。

おわりに:排尿障害の原因は男女でさまざま。詳しくは検査で特定を

男性と女性では泌尿器の長さや臓器などに違いがあるため、排尿障害を引き起こす原因が異なることがあります。ただ、検査をしてみないと原因疾患がわからないことも多々あるので、排尿障害が現れたらまずは病院を受診するところから始めましょう。

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