大腸がんは便の変化に注意!?初期のうちに発見する方法とは?

2017/12/6 記事改定日: 2018/7/10
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

大腸は盲腸、結腸、直腸にわけられ、これらに加えて肛門にがんができることを大腸がん(がん)といいます。大腸がんは初期のうちに治療すれば完治が見込めますが、初期症状が出ないため治療が遅れることも少なくありません。この記事では、大腸がんの症状や治療、早期発見のポイントについて解説していきます。

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大腸がんの症状とは!?

大腸がんは、盲腸、結腸、直腸、肛門に発生する悪性の腫瘍です。粘膜の細胞から発生した良性のポリープががん化したものと、正常な細胞からいきなり発生するものがあり、ほかのがんと同様、進行するとリンパ節や肺、肝臓などの臓器に転移します。日本人では結腸にがんが発生しやすいといわれています。

症状

大腸がんは、初期では自覚症状がほとんどありません。
がんが進行すると

  • 血便が出る
  • 下血(肛門からの出血)
  • 下痢と便秘を繰り返す
  • 便が細くなる
  • 残便感など

の便の変化がみられるようになります。
また、お腹の変化としては

  • 腹痛
  • お腹を触るとしこりがある
  • お腹がはるなどの症状

などがあります。

その他、大腸がん以外のがんでもみられる、体重減少、食欲不振、倦怠感などの症状も現れます。しかし、これらの症状は大腸がん以外の病気でもおこる症状なので、これらの症状があるからといって大腸がんとは断定できません。反対に、肛門から出血があったけど痔だと思い放置していたら、大腸がんによる出血だったということもあります。
自己判断せず、必ず病院で検査してもらいましょう。

こんな症状には注意!セルフチェックしてみよう!

大腸がんは進行するまで症状が現れないこともあります。このため、定期的にがん検診を受けることが重要となります。しかし、仕事の都合などで毎年の検診受診が難しい場合も多いでしょう。そのような場合には、以下のセルフチェック項目をよく確認し、当てはまるものが多い場合には大腸がんの可能性ありますので、早めに病院を受診するようにしましょう。

  • 便に血が混じることがある
  • 便が細くなった
  • 残便感がある
  • 便秘と下痢を繰り返すことがある
  • 特に理由がないのに体重が減少した

大腸がんの診断方法は

大腸がんでは、便ががんに接触することで出血し、便に血液が付着することがあります。そのため、便潜血検査で便に血が混じっていないかを調べます。便潜血検査は、早期に発見できる検査法として大腸検診などで行われます。

この検査で陽性になると、より詳しく調べるために、直接電子スコープで観察する内視鏡検査や、肛門からバリウムを入れてX線(レントゲン)写真を撮る注腸X線検査、医師が直接ゴム手袋をし麻酔をして、肛門から直腸内を触診する直腸指診が行われます。直腸がんの80%はこの直腸指診で見つかるといわれています。

その他、X線を照射しコンピューターで解析するCT検査、磁気により画像を描き出すMRI検査、がんが糖分を好むことを利用しブドウ糖に似た薬剤を注入して分布を画像化するPET検査などの検査があります。

大腸がんの治療法

大腸がんの治療はがんの進行具合によって治療法を決めていきます。

初期の大腸がんは、肛門から内視鏡をいれて直接がんを切除する、内視鏡治療が可能です。がんの浸潤が確認された場合や進行が見られた場合は、開腹手術によるがんの切除が検討され、手術後再発を防ぐために、抗がん剤などの化学療法を行う場合もあります。末期のがんで手術ができない場合は、化学療法、放射線治療が行われ、これらの治療も難しいときは苦痛を緩和する緩和ケアを行います。

早期発見のために ― 定期検診を受けよう!

大腸がんは早期であれば内視鏡でがんを切除することが可能です。また、腹腔鏡で体への負担が少ない手術を行うこともできます。
大腸がんは進行するまで自覚症状が現れにくいがんですので、早期発見にはがん検診を定期的に受けるしかありません。万が一大腸がんを発症したとしても、負担の少ない治療を選ぶためにはがん検診で早期発見をする必要があります。

一般的な大腸がん検診は、「便潜血検査」を行います。これは、便の中に血液が混じっているかを調べる検査であり、便に血が混じっている場合には消化管の中に出血性病変がある可能性が考えられます。
検診で便潜血が陽性となった場合には、大腸内に病気がないか内視鏡検査をすることになります。大腸の内視鏡検査は肛門から内視鏡を挿入して大腸の全体像を診ることができますので、がんがあるかどうかを正確に評価することが可能です。

おわりに:初期の大腸がんであれば、内視鏡治療が可能な場合も。早期発見できるように定期検診を!

大腸がんは初期の頃は自覚症状がないため、発見が遅れるケースもすくなくありません。進行したり転移すると完治が難しくなるため、定期検診などを利用して早期発見に努めましょう。
また、血便や下血は身体に何らかの異常があるというサインでもあります。血便が出たからといって必ずしも深刻な状況であるとは言い切れませんが、原因をはっきりさせるためにも必ず病院で検査してもらいましょう。

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