記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/11 記事改定日: 2018/7/10
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
大腸がんの手術が終わり、退院した後、食事ではどんなことに気をつけたらいいのでしょうか。手術後の食事の注意点や、おすすめの食べ物、摂らないほうがよい食べ物などをまとめました。 また、手術後の生活や抗がん剤治療についても説明しています。
大腸がんになったときのためや、大腸がんの家族を支えてあげるために、この機会に覚えておきましょう。
大腸がんの開腹手術をした場合、腸と腸などの癒着や縫合部分の影響で、食べ物がうまく通らなくなり、吐き気やお腹の張り、便秘などの症状を引き起こすことがあります。ただ、これらの症状は退院する時期には徐々に改善するもので、手術の内容や体の状態にもよりますが、大腸がんの手術後から2~5日目頃から食事を開始することができます。
大腸がんの手術後は、上手に食事をすることで体力を維持したり、回復を早めたりできるので、体調と相談しながら少しずつ食事をとることが大切です。大腸がんの手術をして退院した後には、食事の内容に制限はほとんどないので、ゆっくりとよく噛んで食べることや腹八分目を守っての食事を心がけましょう。
手術を受けてから1~2カ月の間は、まだ腸の機能が十分に回復していないことが多いので、消化が良い食べ物を選んで食べることがおすすめです。消化しやすいおかゆやじゃがいも、また腸を刺激しにくい炭水化物と豆腐や鶏肉、卵などのタンパク質の摂取を意識して食べるようにするとよいでしょう。
なお、昆布やわかめなどの海藻類やキノコ類、ピーナッツなどの豆類は、食物繊維が多く消化されにくいので食べ過ぎないようにしましょう。ごぼうやれんこんなど食物繊維が豊富で便秘に良いと言われている野菜も、控えめにすることをおすすめします。
また、揚げ物や脂身の多い肉、スナック菓子など脂っこい食べ物は、消化に時間がかかり胃腸に負担を掛けることになるので、体調や胃腸の調子がしっかり戻ってから少しずつ食べることがおすすめです。果物はビタミン類が含まれており、栄養豊富なので食べた方が良いのですが、食物繊維が豊富な物が多いので、少しずつ食べるように心掛けましょう。
大腸がんの手術後の食事で気をつけることは、胃腸にやさしく消化の良い食べ物を選んで食べることと、ゆっくりとよく噛んで腹八分目を守ることです。
辛い物や嗜好品が好きな人も、術後は辛い食べ物やコーヒーなどカフェインを含む飲み物、炭酸飲料など胃腸に刺激を与える飲み物は避けることが大切です。また、お酒が好きな人は、大腸がんが良くなったらお酒を飲むことを楽しみにしているかもしれませんが、アルコールは胃腸だけでなく、肝臓や腎臓などにも負担をかけてしまうため、摂取は控えましょう。
便通の調子を整えるためには、規則正しい生活が大切です。深夜の間食やお酒、暴飲暴食を避け、できるだけ食事の時間や就寝時間、起床時間を一定に、規則正しい生活を心掛けましょう。
また、できる範囲で、少しずつ散歩などの軽い運動を始めることもおすすめです。体を動かすことで胃腸の調子が整ったり、食欲が出たりすることがあるので、体調と相談しながら実践していきましょう。
大腸がんの術後には、なるべく早く離床して程度なリハビリを行いながら、日常生活への復帰を目指していく必要があります。
術後はお腹に傷がある状態のため、数ケ月は腹筋をよく使うような筋トレなどは控えなければなりませんが、軽めのウォーキングやジョギング、下肢のストレッチなどで筋力の低下を防ぐことがおすすめです。
大腸がんの術後には、再発の可能性を最小限にするために抗がん剤治療が行われます。手術で大部分の大腸がんを切除した場合でも、微小ながん細胞が大腸のみならず他臓器にも転移している可能性があり、これらのがん細胞は時間が経過すると徐々に成長して「再発」することがあります。このため、大腸がんの術後には残ったがん細胞を微小なサイズの内に退治する必要があるため、抗がん剤が使用されるのです。
しかし、抗がん剤には吐き気や下痢、食欲不振などの様々な副作用があり、人によってその影響は様々です。副作用が辛い場合には、薬などでコントロールできる場合があるので、我慢せずに担当医に相談するようにしましょう。
大腸がんの手術後しばらくの間は、まだ腸の機能が十分に回復していません。消化にいい食べ物をメインにした献立で、腸の回復をサポートしていきましょう。
また、大腸がんの手術後は再発防止のための補助治療として抗がん剤が使われることがあります。抗がん剤には副作用がありますが、副作用の辛さはある程度コントロールできるといわれていますので、副作用がつらい場合はひとりでかかえこまずに、まず担当医に相談するようにしてください。