あなたの家にもいるかもしれない~微生物感染症を防ぐ~

2017/3/16

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

目に見えない病原微生物による感染症は、増え続けています。病原微生物は、1年を通じて、または季節的などさまざまなものがあります。
病原体ごとに感染経路も異なるので代表的な感染症について知り、必要な対策をとることが必要です。ここではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌、大腸菌、クロストリジウム・ディフィシルといった感染症の感染を防ぐために、家庭での衛生対策について解説します。

微生物感染症に備えるには家庭から

近年の重症急性呼吸器症候群(SARS)、鳥インフルエンザ、食中毒、ノロウイルスの流行や、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やクロストリジウム・ディフィシル(C. diff)の院内集団感染などから病院や企業、家庭の衛生対策に意識が向けられるようになっています。
1つの感染症がコントロールできるようになると、すぐに別の感染症があらわれることはよくあり、そのつど抗生物質が開発されて効果を得るようになりました。しかし、MRSAやC. diff などは、抗生物質の使用によって起こされたのではないかといわれています。
抗生物質への抵抗力を高める一番の方法は、私たちの住む地域社会が衛生的に好ましい状態になることです。そのためには、各家庭の衛生管理が重要な役割を果たします。家庭内の衛生状態を保つことは、地域社会へのより広い範囲に拡大することを防げます。

家のなかは安全か?

多くの人は、家が感染症の感染源だとは考えていないでしょう。しかし、家で感染症にかかる可能性は実際にあります。感染拡大を防ぐための最も簡単な「手を洗う」という行為がどれほど重要なのかを知る必要があるでしょう。
家庭内のどこで感染が広がる危険性があるか考えてみましょう。細菌のホットスポットに注目して病原微生物を排除する必要があります。
そうかといって家全体を殺菌しなければならないわけではありません。近年のアレルギー増加の原因は殺菌のしすぎとも示唆されています。
幼児期に適度に微生物にさらされるとバランスのとれた免疫システムができるとわかってはいるものの、はっきりとした根拠は示されていません。すべての人が感染症の危険性を認識することと、そのリスクを避けるために衛生管理をする重要性に気づくことが重要でしょう。

病原微生物による感染症

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症

メチシリンなどのペニシリン薬をはじめ、β-ラクタム系、アミノ配糖体系、マクロライド系抗生物質に対して多剤耐性を示す黄色ブドウ球菌による感染症です。咳(せき)やくしゃみ、発熱、下痢のような症状がみられます。

クロストリジウム・ディフィシル誘発性大腸炎

抗生物質関連大腸炎または偽膜性大腸炎とも呼ばれ、大腸の炎症や下痢がみられます。C. diff 細菌の増殖によって起こりますが、抗生物質の使用が原因とされています。

腸管出血性大腸菌感染症

ベロ毒素に汚染された食品を食べることで感染します。全く症状がみられないものから軽い腹痛や下痢で終わるもの、頻回の水様便、激しい腹痛、著しい血便とともに重篤な合併症を併発するものまでさまざまな症状がみられます。

おわりに:家庭での衛生管理は手洗いから!

ワクチン接種と抗生物質の開発によって、ほとんどの感染症は容易に予防、治療できるようになりました。しかし、抗生物質は万能薬ではありません。
その元となる病原微生物によって感染する危険もあるのです。代表的な感染症について知り、必要な対策をとることが重要です。そのために、まずは手洗い!  を習慣にしたいですね。

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