膵臓の機能が徐々に壊されていく ~慢性膵炎について ~

2017/12/7

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

膵臓の機能が徐々に低下し、組織が硬くなっていってしまう「慢性膵炎」。今回はこの慢性膵炎について、発症の原因や症状、検査方法などを解説していきます。

慢性膵炎とは?

慢性膵炎とは、膵臓の機能が徐々に失われていく病気です。慢性膵炎を発症すると、膵臓の組織はかたくなってその部分は機能しなくなります、一度機能を失うと回復することはありません。

膵臓は膵液を分泌し、私たちが食べたものの消化を助けてくれる臓器です。この膵臓の働きとして特に重要なのがインスリンの分泌です。インスリンには血中の糖分のバランスを保つ作用があるので、膵臓の機能が低下してインスリンの分泌量が低下すると、血中の糖分が増え、さまざまな悪影響を及ぼす原因となります。

同じような病名のものに急性膵炎がありますが、慢性膵炎と急性膵炎にはいくつかの違いが見られます。急性膵炎は膵臓が分泌する物質が変異することによって引き起こされますが、慢性膵炎は膵臓が過剰に労働して疲弊するために引き起こされます。

どうして慢性膵炎になるの?

慢性膵炎を発症する最大の原因がアルコールです。アルコールは適切な量であればストレスを発散し、気分を高揚させる効果がありますが、過度に摂取すると体内で毒となり体に様々なダメージを与えます。日本人はもともとアルコールを分解する能力が弱いため、慢性膵炎を発症する確率は外国人と比べると高いです。

しかし、全ての人がアルコールによって発症するわけではなく、特に原因もなく突発的に発症するケースもあります。

どんな症状が見られるの?

慢性膵炎の症状として最も多いのが、みぞおち部分や背中の左側に感じる、継続的な鈍痛です。この痛みは急性膵炎とは少し違い、急性膵炎の場合は耐えられないほどの刺すような痛みを同じような部分に感じることが多いです。

ほかに慢性膵炎の特徴的な症状として、下痢や下痢に伴う体重減少があります。これは膵臓の炎症によって働きが低下し、食べたものがしっかりと消化されていないことが原因で起こります。

また前述のように、膵臓の機能が低下するとインスリンの分泌量が少なくなり、血中の糖分が増加しやすくなります。そのため慢性膵炎を発症すると、糖尿病を併発する可能性が高くなります。

慢性膵炎かどうかは、どうやって調べるの?

慢性膵炎の検査は、主に超音波検査かCT検査を用いることが多いです。慢性膵炎はこれらの画像検査によって発見し、確定できることがほとんどですが、まれにこれらの検査でも発見できない場合があります。

慢性膵炎になると膵臓の機能が低下するので、膵臓の分泌物の量も低下します。そのため、画像検査で発見できなかった場合は、膵臓から分泌される酵素を採取し、正常な人との分泌量を比較することで病気を見つける方法も存在します。

また、慢性膵炎では背中の中央部分を拳で叩かれると痛みを感じることが多いため、触診も診断基準のひとつとなります。

おわりに:慢性膵炎は比較的発見が容易な疾患。気になる症状があればまず検査を

過度のアルコール摂取が原因で発症することのある慢性膵炎。慢性膵炎は多くの場合CTなどの画像検査で発見可能な病気なので、みぞおちのあたりにずっと鈍痛が続くようなら、専門の医療機関を受診しましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

アルコール(51) 下痢(159) インスリン(61) 慢性膵炎(15) みぞおち(3) 体重減少(16) 鈍痛(1)