IgA腎症とはどんな慢性腎臓病?治療を始めてからの注意点は?

2017/12/7 記事改定日: 2018/8/20
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

健康診断などの検尿がきっかけで見つかる腎臓病のひとつに、「IgA腎症」があります。今回はこのIgA腎症について、症状や原因、治療法や福祉サービスなど全般的な情報をお届けしていきます。

IgA腎症とは!?

IgA腎症とは、腎臓の中にある糸球体という部位で炎症が続くことで、血尿やタンパク尿が出る病気です。IgAとは免疫グロブリンAのことで、風邪をひいた時などにあらわれて身体の免疫機能を保つ役割を果たしているものです。しかし、何らかの原因で異常なタイプのIgAが出現し、それが腎臓の糸球体に沈着してしまうと炎症が起こってしまいます。すると糸球体が正常に働かなくなり、血尿やタンパク尿といった異常な尿が出るようになります。

発症年齢

IgA腎症は、子供から大人まで全ての年代の人が発症する可能性のある病気です。自覚症状として、目で見てわかるほどの血尿が出ますが、その前に健康診断などでの検尿で発見されることがほとんどです。事実、IgA腎症のおよそ7割は健診で発見されています。

予後

以前はIgA腎症は治療可能な予後の良い病気とされていましたが、現在では慢性腎臓病になる予後の悪い病ということがわかってきています。

IgA腎症の症状とは!?

IgA腎症の主な症状はタンパク尿と血尿です。しかし、症状の軽い初期の段階では自分で気付くほどの症状はありません。時には扁桃腺炎にかかった後に血尿が出て、IgA腎症を発症していると判明することがあります。

IgA腎症が進行すると、腎臓の機能が低下してくるので、腎不全と同じような症状が出てきます。具体的には、腎臓には血圧を調整するという機能もあるため、腎機能が低下してくると高血圧になることがあります。また、尿として水分が適正に体外に出されなくなると、身体に余分な水分が溜まり、むくみとなってあらわれます。そして腎不全の状態になると、赤血球をつくるホルモンが減って貧血を起こしたり、老廃物が体内に溜まることで疲労感を感じやすくなり、食欲が落ちて吐き気がするといった症状がでます。

IgA腎症の原因は?

IgA腎症を発症する原因はまだ解明されていません。なお、扁桃腺炎になった人がIgA腎症を発症することがあるというのはわかっていますが、扁桃腺炎になった人全てがIgA腎症を発症するわけではありません。ただ、腎臓の糸球体に沈着する異常なIgAは扁桃や骨髄で作られていると考えられており、リンパ球の機能異常やウイルスや細菌感染をきっかけに異常なIgAが発生するのではないかといわれています。

また、家族内で複数の人がIgA腎症を発症している事例が多いことから、遺伝や体質も関係しているとされています。

IgA腎症は治療できる?

IgA腎症は原因がはっきりとわかっていないため、治療法も確立していません。現在IgA腎症を発症した時に行われている治療は、食事療法として塩分制限を行い、塩分を減らすことで腎臓の負担を軽くするというものです。タンパク尿が出ている時には、場合によってたんぱく質の制限をします。また、タバコを吸っている人は禁煙をして、肥満がある場合には減量して適正体重に近づけます。

なお、高血圧がある場合にはRA系阻害薬という降圧剤を使用したり、また症状によっては、多剤併用療法として副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬、抗血小板薬を使って治療を行います。さらに重症の場合にはステロイドパルス療法を行います。他にも外科的治療として口蓋扁桃摘出術を行うこともあります。慢性腎臓病になってしまうと透析が必要になります。

どんなときに透析が必要になる?

IgA腎症では、発症後10年間で透析が必要になる確率は約20%で、20年間では40%にも上るとされています。
IgA腎症の治療は、生活指導、食事療法、薬物療法が基本となりますが、腎機能が徐々に悪化すると体内に溜まった老廃物や水分の排出が行えなくなります。このため、腎機能の指標であるクレアチニンが8mg/dl以上、尿素窒素が100㎎/dl以上の場合には透析を導入する必要が出てきます。また、電解質の一種であるカリウムが体内に溜まった状態が続くと不整脈などを引き起こすことがあるので注意が必要です。

身体的な徴候としては、治療を行っても体重の増加が続いてむくみが生じ、心不全や肺水腫などの重篤な合併症が引き起こされることなどが挙げられます。

身体障害者手帳はもらえる?

IgA腎症では、人工透析が必要になった場合に障害者手帳の発行を受けることができます。透析には血液透析と腹膜透析などがありますが、どの種類の透析でもよいとされています。
ただし、透析が必要になったら自動的に手帳が交付されるわけではありませんので、お住いの自治体への申請を忘れないようにしましょう。

また、透析にいたらない場合にも、IgA腎症は難病に指定されていますので、医療費助成を受けることが可能です。診断を受けた場合にはお近くの保健所に相談しましょう。

おわりに:タンパク尿や血尿には注意!悲観せず気長に治療を続けよう!

IgA腎症を自覚する最もわかりやすい症状が、タンパク尿や血尿です。IgA腎症は年齢を問わず発症することのある病気なので、排尿時にこれらの異変に気づいたら、すぐに病院で検査を受けるようにしてください。
また、治療法が確立されてはいませんが、ある程度管理ができる病気といわれています。障害者手帳などの障害福祉サービスを利用しながら、少しでもQOLが上がるように担当医と相談しながら治療を続けていきましょう。

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