神経線維腫症Ⅰ型(NF1)ってどんな病気なの?

2018/2/8

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

神経線維腫症とは?

神経線維腫症は、皮膚の至る所に多発する色素斑(カフェ・オ・レ斑)や良性腫瘍を特徴とし、場合によっては骨や視神経、副腎などにもさまざまな病変を生じる病気です。神経線維腫症には、Ⅰ型、Ⅱ型、そしてⅡ型の異型である神経鞘腫の3種類がありますが、もっとも多くみられるのは神経線維腫症Ⅰ型です。

この病気は出生約3,000-4,000人に1人の割合で生じます。人種差や男女による差はなく、過去に行われた調査により日本での患者数は約40,000人と推定されています。遺伝性の病気ですが、両親ともにこの病気がない患者も全体の半分以上を占めます。

神経線維腫症Ⅰ型(NF1)の特徴について

この病気の主な症状は皮膚の色素斑(しみ)と神経線維腫です。

ミルクコーヒー色をした濃淡さまざまの色素斑はカフェ・オ・レ斑と呼ばれ、生まれた時からみられるのが普通です。大きさは子供では5mm以上、大人では15mm以上で、長円形で扁平のものが多く、6個以上みられれば神経線維腫症Ⅰ型が疑われます。わきや足の付け根にできる小さな色素斑は雀卵斑(そばかす)様色素斑と呼ばれます。

皮膚の神経線維腫は、主に淡紅色の柔らかい腫瘍であり、思春期頃より全身に多発します。生じる数には個人差があり、痛みを伴う神経の神経線維腫や、びまん性に隆起したびまん性神経線維腫がみられることもあります。また患者の2~4%に、末梢神経から発生する肉腫である悪性末梢神経鞘腫瘍が生じます。

その他、まれな症状として、四肢骨や頭蓋骨・顔面骨に生まれつき異常がある場合や、徐々に脊柱・胸郭が曲がってくる場合、また大人になって脳や脊髄などに腫瘍ができることがあります

神経線維腫症Ⅰ型の遺伝子をもっている場合に実際に発症する割合はほぼ100%で、両親のどちらかがこの病気の場合には、子供に遺伝する確率は常に50%となります。ただし、患者の半数以上は、両親が正常であるにもかかわらず突然変異で発症しています。

神経線維腫症Ⅰ型(NF1)の発症原因とは?

明確な発症原因は、今のところ分かっていませんが、原因遺伝子の17番染色体の蛋白産物「ニューロフィブロミン」には細胞の増殖を抑制する作用があるため、この遺伝子に変異がおこると増殖のシグナルが活性化され、様々な病変を生じると考えられています。

どんな治療法があるの?

根本治療は見つかっておらず、症状に応じた対処療法を医師と相談しつつ行っていくことになります。
色素斑については、約半数の患者が見た目の点から悩んでいるとされ、本人の希望をふまえレーザー治療などが行われますが、一度色が薄くなっても再発することが多く、逆に色が濃くなるケースもあります。

皮膚の神経線維腫も、見た目の問題や精神的苦痛などを考慮し、本人の希望があれば外科的手術を行うことがあります。数が少なければ局所麻酔で、多ければ全身麻酔の下に施術されます。
悪性末梢神経鞘腫瘍は早期の根治的切除術を原則とします。
その他、種々の多臓器病変については、専門的な治療を診療科横断的に、医師と相談しつつ行うことが望ましいとされます。

おわりに:急に大きくなったしこりがあるときは、すぐに病院へ

この病気は悪性腫瘍を合併する割合が健常人と比べてやや高いと言われます。急に大きくなるような固いしこりができたときには悪性末梢神経鞘腫瘍を疑い、はやめに専門の医療機関に相談しましょう。またこの病気は個人差が大きく、年代によっても出現する症状が異なるため、定期受診を心がけることも重要です。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

神経線維腫症(3) 神経線維腫症Ⅰ型(NF1)(1) 17番染色体(1) ニューロフィブロミン(1) カフェ・オ・レ斑(1) 悪性末梢神経鞘腫瘍(1)