胃潰瘍だけじゃない! 潰瘍を伴う病気の種類について

2017/12/4

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

「潰瘍」を伴う病気といえば、何が思い浮かびますか?多くの方は、きっと胃潰瘍を思い浮かべるのではないでしょうか。ただ、潰瘍を伴う病気は他にもいくつかあります。詳しくは以降でご紹介していきます。

潰瘍とは?

潰瘍とは、粘膜や皮膚などに生じる組織的な欠損のことです。炎症や細菌への感染、また部分的な血行障害などが引き金となり、急速あるいは時間をかけて組織が損なわれていきます。どれくらいの範囲で、またどれくらいの深さで組織が欠損していくのかはまちまちですが、比較的程度が浅い場合には、潰瘍ではなくびらんと言う言葉が使われることもあります。潰瘍になるとその部分の組織が壊死し欠損してしまうわけですから、その部分が関係している健康機能に著しい障害が出てくることも考えられます。

潰瘍を伴う病気①:胃潰瘍

潰瘍を伴う病気として広く知られているのが胃潰瘍です。胃潰瘍は、胃液の作用が亢進することで胃に炎症が発生し、それに対抗するため胃粘膜の機能が低下してしまうことで、組織欠損が発生することで起こります。胃の働きを調節している自律神経を狂わせる強いストレスや睡眠不足、ピロリ菌などの感染などによって起こり得る症状です。

胃潰瘍には急性と慢性のふたつの種類があり、急性の場合はびらんが発生することが多く、慢性の場合は組織欠損が円形で、単発に起こりやすいという傾向があります。早期に完治する一方で再発を繰り返すことも多く、40~50代の年齢層は特に罹患しやすい症状のひとつです。

潰瘍を伴う病気②:十二指腸潰瘍

十二指腸潰瘍も、潰瘍を伴う病気の一種です。十二指腸は小腸の一部で胃から続いており、胃から送り込まれてきた食べ物と消化酵素を混合させ、吸収を促進する作用を担っています。ただし、この十二指腸の内側は胃に比べる非常に弱くデリケートであるため、炎症からびらん、そしてびらんから潰瘍への進行が速いのがひとつの特徴です。十二指腸潰瘍を発症すると、出血や穿孔(組織の欠損が進行することで破れてしまい、内容物が漏れ出てくること)が発生します。

十二指腸潰瘍の原因としては、胃酸と内部粘膜のバランスの崩れ、ピロリ菌への感染、ストレスなどが考えられます。若い人でも発症する傾向があり、ストレス社会の日本では20代で罹患する人も少なくはありません。

潰瘍を伴う病気③:角膜潰瘍

更に潰瘍は目にも発生することがあり、その一例として挙げられるのが角膜潰瘍です。この前段階として角膜びらんと呼ばれる症状があるのですが、これに対して角膜潰瘍は角膜表皮だけでなくその奥の組織、実質や内皮にまで欠損が及び、それにより角膜が薄くなったり濁ったりしてしまっている状態を指します。

角膜は外から入ってくる光を屈折させ、瞳の奥の網膜に像として結ばれるのを助ける役割を持っています。角膜潰瘍とはそのような、見ることに対して重要な役割を果たしている部分に欠損が発生するわけですから、視力に障害が出やすい症状です。特に症状が重度であれば、治った後にも視力障害が残るリスクがあり、更に穿孔が起きていた場合には失明に至ってしまう恐れも考えられます。原因としては細菌感染や外的衝撃、神経系への異常や免疫異常などが挙げられます。

おわりに:目でも潰瘍が起こることがある!

潰瘍というと消化器の病気を思い浮かべる方が多いのですが、実は目でも角膜潰瘍という形で潰瘍を起こす場合があります。ご紹介した病気の症状が現れたら、重症化する前に病院を受診してください。

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