潰瘍の基礎知識 ~ 症状・原因・治療法とは ~

2017/12/6

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

潰瘍とは、組織が崩れて欠落してしまっている状態です。傷が深層部にまで及んでいるため、強い痛みや出血などの症状が現れます。この記事では、潰瘍の症状や原因、治療法など、基礎知識について解説しています。

潰瘍って、どんな状態を指すの?

潰瘍とは、皮膚や粘膜など身体の表面の組織の一部が炎症などで崩れて欠けてしまい、その部分の組織がなくなっている状態のことです。これは一番表面にある粘膜や表皮だけの欠損ではなく、その内側の組織まで欠損が及んでいる状態になります。粘膜や表皮だけが欠けている状態の場合には「びらん」と呼ばれ、潰瘍とは区別されます。

潰瘍は皮膚や粘膜、目の角膜や結膜にできます。また消化器官の内側の壁は粘膜でできているので、ここにもできることがあります。潰瘍は痛みを伴うことが多く、深く欠損しているため出血が起こることもあります。また消化器の潰瘍は深くなり過ぎることで消化器官の壁を突き破ってしまうこともあるのです。

どんな症状が見られるの?

潰瘍ができるとその部分の表皮がなくなり下部の組織(真皮や筋層など)が外に出てしまっている状態なので、ひりひりとした痛みの症状が起きやすくなります。この痛みは潰瘍部を触ったり刺激を加えられることでさらに痛みが増します。
消化器の中には痛みを伴わないものもありますが、ほとんどの潰瘍が痛みを伴い、大きくなることで痛みが増強します。

また潰瘍が起こって組織が欠落することでバリアー機能がなくなり、感染のリスクが高まります。感染が起こるとその部位からは膿が出たり浸出液が出るようになり、潰瘍が悪化することでどんどん深くまで欠損部が広がり、臓器を形作っている壁(胃であれば胃壁)を突き破ってしまう穿孔という症状が起こり、臓器に穴があいた状態になってしまいます。

潰瘍の原因となるのは何?

潰瘍ができる原因のひとつは物理的な刺激です。粘膜や皮膚表面に強い力が加わったときに表層の組織が剥がれおちることで発生します。例えば、口腔内にできるものは歯で噛んでしまった刺激がきっかけとなって起こることがあります。

消化器の例としては、消化液や消化酵素が臓器そのものに働きかけてしまうことで起こります。
消化液や消化酵素の分泌量は、本来食べた量や質に合わせて適切なバランスが保たれていますが、何らかの原因でこのバランスが崩れると臓器の壁も溶かしてしまうのです。

他には免疫反応によるものがあります。これは通常は自分自身を攻撃しないはずの自分の免疫機能が、過剰に働いてしまうことで自分自身の組織にはダメージを起こします。自己免疫疾患の場合に起こります。

潰瘍の治療法とは?

剥がれおちた組織の代わりになるもので覆い、再生してくるのを待つ治療法があります。これは欠損している部位が感染しやすくなっているために行われる処置です。薬剤で患部を覆ったあとは、清潔に保つように指示されるでしょう。
徐々に新しい組織が再生してきたら、保護をはずして完全に新しい組織ができるのを待ちます。出血がひどいときには止血材を使ったり、出血部位の圧迫で止血をします。
また、痛みの症状が強いときには鎮痛剤を使用することもあり、消化液の過剰が原因となっているなど潰瘍ができる原因がわかっている場合には、原因を除去するための薬(胃潰瘍であれば胃酸を抑える薬など)も使われます。

おわりに:潰瘍とは、表面だけでなく深部まで傷ができている状態。さらに悪化が進む前に適切な治療を!

潰瘍とは、表面組織の表皮や粘膜だけでなく、筋層や真皮といった深部の組織まで傷ができている状態です。悪化が進むと組織や臓器の壁が貫通してしまう穿孔にまで発展してしまう可能性があります。体表の皮膚にできる潰瘍は見つけやすいですが、胃や十二指腸のような内臓の潰瘍はある程度進行して強い症状が現れるまで発見できないことも少なくありません。
違和感を感じる程度でも、念のため病院で検査することを習慣化し、定期健診も怠らないようにしましょう。

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