記事監修医師
メディアージュクリニック青山、皮膚科
田中 美帆 先生
2018/4/9
記事監修医師
メディアージュクリニック青山、皮膚科
田中 美帆 先生
毎日の家事や仕事によって、よく「手湿疹」ができてしまう方は、特に女性に多いとされています。一度できるとなかなか治らない手湿疹を治すには、どんな方法が効果的なのでしょうか。以下で詳しくご紹介していきます。
手湿疹は手のひらや指に起きる湿疹のことです。乾燥、皮膚が固くなる角質化、ひび割れなどが症状はさまざまです。手湿疹は女性がなることが多く、主婦湿疹とも呼ばれています。
手湿疹は炎症が強いと、赤みやかゆみといった症状も出てしまいます。また、ひび割れになってしまうと、痛みや出血が生じることもあります。ただの手荒れだと思っている人も多いですが、その症状は多岐にわたり、多くの人が悩んでいます。一度できると治るまでに時間がかかってしまい、日常生活を過ごすうちに悪化してしまう厄介な皮膚トラブルです。
手湿疹の原因はいくつかありますが、その中でも刺激による皮脂の減少が最も多いといわれています。洗剤を使った水仕事や、紙を多く触る仕事を繰り返すことで、手から必要な皮脂が奪われてしまうことから起こります。主婦や美容師、事務員などがなりやすいのは、これらの刺激に常にさらされているためです。
また、皮膚のバリア機能の低下も原因のひとつです。手のひらには汗腺はありますが、毛穴がないために皮脂を分泌することができません。そのため一度乾燥してしまうとなかなか回復することが難しく、アトピーや敏感肌の人も手湿疹になりやすいと言えるでしょう。乾燥する冬の方が手湿疹の症状がひどくなり、夏には回復しやすい傾向があります。
湿疹の治療薬には、塗り薬と飲み薬があります。塗り薬は保湿作用のあるものだけでなく、ステロイドも治療薬として使われます。なお、保湿剤は乾燥している肌にうるおいを与えますが、ステロイドは乾燥を防ぐ薬ではありません。炎症を抑えることで、手湿疹を回復させていきます。
また、飲み薬も治療に使われます。抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤を飲むことで、かゆみを軽減することができます。これらの薬は、飲み続けることでかゆみが出にくくする作用もあります。
ほかに、血の巡りを整えたり、冷えを改善するための漢方薬を治療に使うこともあります。漢方薬は体質に合ったものを選ぶ必要があるために、患者さんによって飲む薬が変わります。
手湿疹を治すためには、薬や飲み薬に加えて、肌のバリア機能を低下させないための保湿が重要になります。水仕事や紙を扱う前には保湿をしっかりと行い、こまめに塗りなおしましょう。仕事の前後で手に保湿クリームを塗るようにすると効果的です。1日に5~6回は使用し、バッグなどの中に入れて持ち歩きができるようにするのが理想です。
手湿疹は、皮脂の減少や肌のバリア機能の低下によって引き起こされるものです。皮膚科での治療薬と併せ、日頃からこまめにクリームを塗るなどして、肌の保湿を心がけましょう。