記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/6 記事改定日: 2019/1/8
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
デュピュイトラン拘縮は、手や指にできたこぶやしこりが、皮膚を介して指を引っ張ってしまい、指が伸びなくなってしまう病気です。
この記事ではデュピュイトラン拘縮の治療についてまとめているので、参考にしてください。
デュピュイトラン拘縮は指が屈曲拘縮してしまい関節可動域が制限されて、指の動きに支障が出てくる状態です。
最初はこぶやしこりが手や指に発生するだけですが、次第にそれに引っ張られるようにして皮膚が集まっていきます。するとそれに合わせて指も内側へと曲がっていき、最終的には指を伸ばすことができなくなってしまうのです。
原因としては拘縮索の存在が挙げられます。拘縮索はコラーゲンが異常沈着して発生する、皮膚がぼこっと膨れ上がったような、太い束のような状態として目視もできます。デュピュイトラン拘縮の場合、手のひらから指に向かって広がっている腱膜にこの拘縮索ができてしまうため、指の動きが制限されるのです。
デュピュイトラン拘縮の治療法は症状の程度によって大きく異なります。
症状が軽度で日常生活にも支障がなく、指の曲がりもそれほど酷くない場合はの治療は保存療法が中心です。
保存療法とは手術を行わない、出血を伴わない治療法のことで、主に対症療法が行われます。(具体的な方法については、下記で解説していきます)
指の曲がりが酷く日常生活に明らかな支障が出てきている重症例には、手術が検討されます。
屈曲の度合を確認するために、手のひらや指を机にぴったりとくっつけた際に、手のひらや指が浮かないかどうかを確認する「テーブルトップテスト」で、もし手のひらや指が浮いてぴったりとつけられない場合は、デュピュイトラン拘縮がかなり進行していると判断されます。
デュピュイトラン拘縮に対する保存療法としては、指の関節可動域に対する制限を少しでも抑制するためにリハビリを行ったり、夜間にも指を伸ばした状態を維持する装具での固定が行われます。
また、拘縮索のもとであるコラーゲンを分解する作用がある薬剤(コラーゲン分解酵素)を拘縮索に注射して、症状の解消を目指すこともあります。
保存療法は体への負担が少ないことがメリットですが、あくまで対症療法なので原因に働きかけることはできませんので、根本改善には至りません。
デュピュイトラン拘縮の手術では、手のひらや指の皮膚の切開してそこの腱膜に発生している拘縮索を切除します。指が伸ばせない根本の原因である拘縮索を切除するため、根本改善の効果が期待できます。
ただし手術療法を受けたらそれで終わりではありません。手術後そのままの状態で放置していると、今度は手術の傷跡が原因で拘縮が発生してしまうことがあります。
術後の拘縮の形成を防ぐためには、指のハビリや夜間の固定などが必要不可欠です。
デュピュイトラン拘縮は手術を行っても、適切なリハビリを続けないと再発やすい病気です。
術後は、病気によって曲がっていた指を伸ばすような装具を着け、手術の傷口が回復したら指の筋力を鍛えるように握力の強化や指の曲げ伸ばし運動、指先の細かい作業を行うトレーニングが開始されます。
一般的にリハビリは術後2~3か月ほど続ける必要があります。また、ある程度症状が落ち着いた後も就寝時などに指を伸ばす固定具の装着が必要になることもあります。リハビリの期間は、それぞれの症状や術後の状態によって異なりますので、必ず医師の指示に従って行うようにしましょう。
デュピュイトラン拘縮は指の曲がり具合など、重症度によって治療方法が変わってきます。保存療法も手術療法もどちらもメリットとデメリットがあり、適したタイミングで適した治療を受けることが重要です。
担当医と相談しながら、自分にあった治療を受けるようにしましょう。
また、手術後にリハビリを怠ると手術痕が原因で拘縮が起こってしまうことがあります。手術後のリハビリは必ず続けましょう。
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