IgA腎症の治療はどうやってするの?仕事との両立のポイントは?

2017/12/6 記事改定日: 2018/8/20
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

腎機能が低下し、血尿やたんぱく尿を引き起こす「IgA腎症」。国の指定難病のひとつですが、このIgA腎症にはどういった治療法で対処していくのでしょうか。
また、仕事と治療の両立はできるのでしょうか。
以降で詳しく解説していきます。

IgA腎症はどうやって治療するの?

腎臓は身体の中の老廃物を除去したり、電解質の調整、体内の水分量の調整などを行ったりする臓器です。他にも血圧を調整したり、血液を作るホルモンを出したりなど非常に重要な働きをします。その腎臓の中にある尿をろ過する糸球体という部位にIgAという抗体が沈着する病気がIgA腎症です。

IgA腎症になると糸球体の働きが悪くなるため、腎臓の機能が落ちてしまいます。その結果血尿とたんぱく尿がでるという症状が起こります。尿の異常は目で見てもわからない程度のものが多く、健診での検尿で発見されることが多い病気です。

IgA腎症は発症原因がはっきりとはわかっていないため、根本的に治すことが難しい病気です。そのため、病状の悪化を食い止めるような治療が中心になります。具体的には、腎臓の機能がこれ以上落ちないように腎臓の負担を最大限抑えることで、透析を必要とする時期を遅らせていきます。

また、IgA腎症によって身体に様々な症状が起きている時には、二次的な病気を防ぐために症状を改善するような治療を行います。他に、腎臓に起こっている炎症を抑えるような治療も必要になります。

IgA腎症の薬物療法

腎臓の働きのひとつである血圧の調整が上手く行われず、高血圧を起こしている時には、降圧剤を用いて血圧を正常値に近づける必要があります。高血圧は全身の血管に関係しており、放置することで全身に様々な悪影響が出る危険性があります。

そのほか、腎臓に起こっている炎症に対しては、炎症を抑えるためのステロイド剤や免疫抑制剤を使用します。特に副腎皮質ステロイドを短期間に大量投与して休薬期間をつくるステロイドパルス療法がよく行われます。これは大量のステロイド剤を使用しながら休薬期間を設けることで、副作用を少なくする効果のある治療法です。

IgA腎症の食事療法

腎臓の負担を減らすために、生活の中で重要になってくるのが食事内容です。特に腎臓の機能が悪くなっている時には、たんぱく質を多く含む食事は腎臓にとって負担となってしまいます。そのため、医師の指示に従いながらたんぱく質を制限した食事をとるようにするのが一般的です。たんぱく質は必要な分を良質なたんぱく源でとるようにして、全体のカロリーが落ちてしまわないように気をつけます。

また、塩分も制限します。これは、塩分を摂りすぎると腎臓で処理しきれずに体内に塩分が残り、身体のむくみを引き起こすからです。その結果、高血圧を悪化させ、心不全や肺水腫を引き起こすリスクが高まってしまいます。

IgA腎症の運動制限

IgA腎症の治療には、運動制限もあります。軽く身体を動かす程度は大丈夫ですが、激しい運動は病状の悪化につながります。まず運動することで血圧が上がり血流が盛んになります。すると腎臓にたくさんの血液が入ってきて、血圧が高くなることで糸球体に負担がかかり、破壊される糸球体が増えてしまいます。

また、汗をかいて脱水状態になることで血液が濃い状態になることも、腎臓の負担になってしまいます。汗をかいた時には脱水を治すように水分を適切にとるようにする必要があります。

IgA腎症の治療と仕事は両立できる?

IgA腎症の治療を続けていてももちろん仕事と両立することは可能です。透析を行う場合には、週に3日の長時間通院が必要になるなど、両立は簡単でないこともありますが、日中の仕事にも配慮して夜間透析を行う医療機関も増えており、障害・傷病治療との両立支援を導入する企業も多くあります。このため、以前に比べて仕事との両立がしやすくなった状態であるといえます。

しかし、IgA腎症の人は突然体調を崩すこともあり、仕事を行う際には、長時間の立位や炎天下での作業などは避け、疲れたら適度に休むなど注意しなければならないことも多々あります。また、息切れや動悸、むくみなどを自覚したときには速やかに病院を受診する必要もあります。
仕事と治療を上手く両立するには、周囲の理解と配慮が必要であることを覚えておきましょう。

おわりに:IgA腎症の治療と仕事は両立できる。悲観せず根気よく治療を続けよう

IgA腎症の症状の悪化を防ぐためには、病院で処方された薬を服用することはもちろん、たんぱく質と塩分の摂取を制限したり、激しい運動を控えたりといったことにも注意する必要があります。
今は、仕事と治療の両立のための支援制度があったり、理解がある病院が増えてきたことから、以前に比べて治療を続けやすくなってきています。大変ではありますが、医師と相談しながら根気よく治療を続けていきましょう。

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