変形性股関節症の治療の進め方は?どんな方法があるの?

2017/12/5 記事改定日: 2018/12/26
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

股関節周囲に痛みが生じることで、日常生活にも支障が出るようになる「変形性股関節症」。この変形性股関節症に対しては、どのような治療法があるのでしょうか?
ここでは、変形性股関節症の治療方法について解説していきます。早期治療に役立ててください。

変形性股関節症はどんな病気?

変形性股関節症は何らかの原因により、大腿骨頭と寛骨臼の間にある軟骨がすり減ってしまい、股関節の機能が正常に保たれず痛みが出てくる病気です。
股関節に負荷がかかることで徐々に軟骨のすり減りが悪化して痛みが増し、ひどくなると生活に支障をきたします。

変形性股関節症は女性に多く見られる病気で、年齢と共に発症数が増えます。
原因としては子供の頃の発育性股関節不全や股関節形成不全、大腿骨頭すべり症、骨折や脱臼などの外傷、痛風や化膿性関節炎などが原因となって起こることがあります。

変形性股関節症が悪化するとどうなる?

変形性股関節症の主な症状は、股関節周囲の痛みです。
股関節の初動時(動かし始め)に痛みが強く出たり、長時間歩いて股関節に負担がかかると痛みが強くなる傾向があります。
最初のうちは股関節ではなくお尻の痛みや膝の痛みとなってあらわれることもあるため、股関節の病気だと気づかないことも少なくありません。

病状が悪化すると、痛みを避けるために足を動かしたり歩いたりすることを避けるようになるので、筋力が低下していきます。筋力が低下するとさらに歩きづらくなっていき、余計に筋力低下が進むという悪循環に陥ることになります。
動かす機会が少なくなると、関節可動域(関節の動かせる範囲)が狭くなっていくので、さらに症状が進んでいきます。

変形性股関節症の治療法 ― 保存療法と手術療法

保存療法

温熱療法

温熱療法は、温めて血流を良くしていく治療法です。血流を良くすることでこわばっていた筋肉が柔らかくなり痛みが軽くなります。
この治療法は痛みが慢性化しているときに主に使われます。炎症が強い急性期に行うと症状が悪化することがあるので、基本的に急性期には使われません。

運動療法

運動療法は、運動をすることで股関節の動きを良くして、関節の動く範囲を正常に保てるようにする治療法です。また、運動で筋力をつけ、股関節の負担をカバーする目的でも使われます。
運動は、股関節への負担が少なくて済むプールでの水中歩行などが適しています。なお、運動時の負荷を減らすために減量したり、生活の中での身体の使い方の指導を受けることもあります。

薬物療法

変形性股関節症の治療で使用される治療薬は、非ステロイド系消炎鎮痛剤です。飲み薬や湿布、軟膏など様々な種類があります。薬物療法は関節の変形自体を治すのではなく、痛みを緩和させるための保存的治療です。このため、効果には個人差があり、関節の変形が進行するほど薬物療法の効果も低くなります。
また、関節内の炎症が激しい場合には、関節内に直接ステロイド薬が含まれたヒアルロン酸の注射を行うこともあります。

手術療法

保存治療を行っても病状が進んでしまい、痛みが強く生活に制限が出る時には手術療法が検討されます。
手術の適応となるかどうかは、痛みの程度や生活の不便度、年齢や仕事内容、将来的な希望などに基づいて決定します。

手術は関節鏡手術という、内視鏡を使って悪くなった部分をこすり落とす方法が一般的です。
関節鏡手術で対応できない場合は、骨切り術や人工股関節手術が検討されます。

骨きり術

骨きり術は、患者自身の骨を最大限に利用する手術方法です。骨盤の骨や大腿骨など、変形性股関節症の発症に大きく関与していると考えられる部位の骨を切り取って、関節の形を整え、股関節にかかる荷重を均等化することを目的として行われます。

手術にはいくつかの方法がありますが、それぞれの症状や状態に合わせて最良の方法が選ばれます。
人工関節は15~20年の耐久年数があり、若年者では交換手術が必要になるため、できるかぎり自分の骨を利用した骨きり術が行われることが多いです。

人工股関節手術

人工関節置換術とは、変形した関節部分を切除して人工関節に置き換える手術方法です。
股関節を構成する大腿骨頭と大腿骨頭がはまり込む骨盤の寛骨臼を取り除いて、大腿骨と骨盤に人工の大腿骨頭と寛骨臼を植え込んで関節を形成します。

主に60歳以上の人に対して行われる治療で、薬物療法や運動療法を行っても症状が改善せず、歩行困難など日常生活に支障を来たしている場合に行われます。

おわりに:変形性股関節症は、症状が軽いうちに治療を始めることが大切

変形性股関節症は放置すると、歩くこと自体を避けるようになることで筋力の低下につながったり、あるいは重症化して手術を余儀なくされる恐れがあります。
悪化を防ぐためにも、早めに診察を受け、症状が軽いうちに治療が始められるようにしましょう。

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