骨髄異形成症候群(MDS)の検査・治療法について

2017/12/8

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

骨髄異形成症候群(こつずいいけいせいしょうこうぐん)とは、MDSとも呼ばれる病気です。赤血球や白血球、血小板が減少することで様々な症状が現れます。造血幹細胞の遺伝子に傷がつくことで発症しますが、この病気を治療することはできるのでしょうか。

骨髄異形成症候群(MDS:こつずいいけいせいしょうこうぐん)とは?

骨髄異形成症候群とは、血液を作る細胞になんらかの原因で異常が起きる病気です。

私たちの身体に流れる血液の中には赤血球と白血球と血小板があり、赤血球、白血球、血小板を合わせて血球と呼びます。血球は骨の中にある造血幹細胞という細胞で作られています。しかし、なんらかの原因で造血幹細胞の遺伝子に傷がつくと、正常な血球を作ることができなくなります。これが骨髄異形成症候群という病気です。

骨髄異形成症候群の原因ははっきりわかっていません。ただし、がんの治療のために抗がん剤を投与したり、放射線治療を受けることで骨髄の遺伝子に傷がつくことがわかっています。骨髄異形成症候群でもがんの治療が原因で起こったものは「治療関連骨髄異形成症候群」と呼ばれます。しかし、がんの治療によるもの以外の骨髄異形成症候群では、遺伝子に傷がつく原因ははっきりとわかっていないのが現状です。

骨髄異形成症候群の代表的な症状について

骨髄異形成症候群になると、赤血球、白血球、血小板が減少することによってさまざまな症状が現れます。酸素を運ぶ役割を持つ赤血球が不足すると、全身に倦怠感を感じる、動悸や息切れが激しくなる、顔色が悪くなるなどの症状が現れます。
体内に侵入したウイルスや細菌を除去する白血球が減少すると免疫が低下して感染症にかかりやすくなるため、感染に伴う発熱も代表的な症状といえるでしょう。血液を固めて止血する役割を持つ血小板が不足した場合には、ケガをした際に血が止まりにくくなる、出血しやすくなるなどの症状が現れます。

赤血球、白血球、血小板のうち、どの血球が不足するかにより症状には個人差が出ます。また、病気の初期段階では無症状であることも少なくありません。

骨髄異形成症候群はどうやって診断するの?

骨髄異形成症候群は血液検査と骨髄検査などの結果を総合して診断されます。血液検査では、血液中の赤血球や白血球、血小板の数を確認し、減少していないかをチェックします。また、顕微鏡検査で血球の形や芽球の数を調べます。芽球とは、正常な血球になれなかった異常な細胞のことです。

さらに骨髄検査で、骨髄中の細胞の形や芽球がどれくらいあるかを調べます。骨髄中の芽球の数が一定の割合を超えると、骨髄異形成症候群が進行して急性骨髄性白血病に移行したと診断されます。
同時に採取した骨髄液を検査して行うのが、染色体検査と遺伝子検査です。最近では骨髄異形成症候群に特徴的な遺伝子異常も検出できるようになり、より正確な診断が行えるようになってきました。染色体異常は骨髄異形成症候群の患者の約半数に見られます。

骨髄異形成症候群の治療法

骨髄異形成症候群では、病気の状態に個人差があるため、病状に応じて治療を行います。治療法の中で唯一、骨髄異形成症候群の治癒が期待できるのが、同種造血幹細胞移植です。まずは強力な化学療法や全身に放射線を照査して、異常が生じた造血幹細胞を破壊し、その後正常な造血幹細胞を移植して造血機能の回復を目指します。
ただし、移植は体への負担が大きく、年齢や全身の状態、さらにドナーの有無などの条件を満たさなければ行うことができません。移植前に行う科学療養や放射線照射の強度を弱めたミニ移植もあり、こちらは高齢者や他の臓器に障害を持つ人でも行える可能性があるため、医師と相談のもと納得のいく治療法を選択することが大切です。

血液中の芽球が多い場合は、抗がん剤による化学療法を行います。抗がん剤の種類や量は、年齢や状態に応じて決めていきます。

貧血や免疫力の低下などの症状を緩和するために行うのが支持療法です。症状に応じて、輸血療法、薬物療法、抗菌薬や抗真菌薬の投与が行われます。

おわりに:治療の中心はQOLを向上すること。医師と相談しながら自分にあった治療を選択しよう

骨髄異形成症候群は原因が不明な場合が多く、完治が難しいのが現状です。しかし、医師と相談の上、自分に合った治療を行うことでQQLを上げて日常生活を送ることも可能です。まずは骨髄異形成症候群という病気について理解を深め、適切な治療を受けましょう。

この記事に含まれるキーワード

急性骨髄性白血病(5) 骨髄異形成症候群(1) MDS(2) 造血幹細胞(3) 造血幹細胞移植(4)