鉄欠乏性貧血は原因にはどんなものがある?

2017/12/8 記事改定日: 2019/5/20
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

鉄欠乏貧血は鉄分が不足することで起こる貧血のことです。では、鉄分が不足してしまう原因はどこにあるのでしょうか。この記事では、鉄欠乏貧血の原因について解説していきます。どのような症状、病気も、根本改善には原因を知る必要があります。貧血改善のために参考にしてください。

鉄欠乏性貧血とは、どんな貧血のこと?

貧血は、酸素を運ぶ働きがある血液中の赤血球(ヘモグロビン)の濃度が低い状態であり、鉄欠乏性貧血は鉄分が欠乏することで起こります。
ヘモグロビンの材料になる鉄分が不足することによって、ヘモグロビンの合成がうまく行わなくなってしまうことで発症します。

貧血になる、頭痛や立ちくらみ、めまいなどの症状が現れます。さらに動悸がしたり、息切れしやすくなり、慢性的に疲れている状態や疲れやすい状態になります。
ただ、このような貧血の症状がゆっくり現れることもあり、このようなときは体が貧血状態に慣れてしまうので気づくのが遅くなってしまうこともあるようです。

ほかのの症状として、爪の真ん中がスプーン状にへこんだり、無性に氷を食べたくなったりする症状が出ることもあります。

鉄欠乏性貧血の原因は?

鉄分が欠乏してしまう原因には下記のものがあります。

消化管や生理などによる出血

胃潰瘍や十二指腸潰瘍、がんなどにより消化管から出血した場合や生理での出血などが鉄欠乏性貧血を引き起こすことがあります。
若い男性では胃潰瘍や十二指腸潰瘍による貧血が多く、若い女性では無理なダイエットや月経が原因になることが多いとされています。

妊娠

妊産婦の時期にある女性は、鉄分が大量に必要で、通常量の鉄分では貧血になってしまうといわれています。

極度の食事制限や鉄分吸収の阻害要因

極度の食事制限などをしている場合は、食事から十分な量の鉄分が摂取できていない可能性があります。
また、胃を切除した経験のある人はうまく鉄分が吸収できない場合があり、鉄欠乏になりやすいです。

食事内容が原因で鉄欠乏性貧血になってしまうことはある?

鉄分不足を引き起こすような病気がない場合でも、食事内容が極端に偏っていたり、過度なダイエットなど不規則な食生活を送っていると鉄欠乏性貧血になることがあります。

とくに成長期の女性は、月経によって鉄分が失われるうえに、成長のために多くの鉄分を必要とするため鉄欠乏性貧血になりやすいのが特徴です。成長期にはとくに食生活に注意し、鉄分が多く含まれた食材を積極的に摂るようにしましょう。また、貧血症状がある場合は放置せずに早めに病院を受診することも大切です。

改善対策を始める前に病院で検査を受けよう

貧血かなと思ったら、まずは病院を受診し、貧血の原因を特定するようにしましょう。血液の状態を知ることによって適切な治療法も見つけやすく改善しやすくなります。また、病院での検査で他の病気による貧血かどうかを確認することもできるでしょう。

あまり多くの量を食べられないという人は、食事だけで十分な量の鉄分をとることが困難です。

鉄欠乏性貧血と診断されれば、鉄剤が処方されますし、食事改善の指導などもしてもらえます。自己判断で間違った対策を始めるよりも、病院で適切な治療をしてもらうことが改善に近道になるでしょう。

おわりに:鉄欠乏性貧血の治療は原因を突き止めることが改善の近道。まずは病院に相談を

鉄欠乏貧血は鉄分が足りなくなることでヘモグロビンが作れなくなってしまう貧血です。改善のためには鉄分をとる必要がありますが、何らかの病気によって鉄分が不足している可能性もあるので、自己判断で対策をとらずにまずは病院で検査してもらいましょう。

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