巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)の治療

2017/12/8

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

巨赤芽球性貧血は、赤血球になる前の赤芽球が大きくなりすぎることで、赤血球になる前に壊れてしまい貧血になる病気です。原因はビタミンB12と葉酸の不足にあるのですが、効率よく治療するにはどうしたらいいのでしょうか。

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巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)になる原因は?

巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12や葉酸が不足している状態で、これらが欠乏することで細胞分裂がうまく行われず、脊髄のなかにある、赤血球の前の細胞である赤芽球が構成されるまえに壊されてしまいます。赤芽球ができないと、結果、赤血球の量が減ることにつながり貧血を起こすことになります。これを巨赤芽球性貧血と言います。

巨赤芽球性貧血の症状について

貧血は徐々に進むことも多く、自覚症状が現れにくいのが特徴でもありますが、息切れや動悸、体がなんとなくだるく重いなどの疲労感や倦怠感、頭痛などが現れます。これは、鉄欠乏性貧血などと同じような症状です。
さらに、巨赤芽球性貧血の場合は消化器に症状が現れることもあり、舌の表目がツルツルになり、舌に痛みを伴うハンター舌炎や、味覚低下、食欲不振などの症状もあります。また、年が若いのに白髪が異常に現れたり、ビタミンB12の欠乏により体の痺れや知覚障害、歩行障害などの運動失調まで重度な症状を引き起こすこともあります。

巨赤芽球性貧血の治療

ビタミンB12は様々な食材に含まれており摂取が難しい栄養素ではないので、本来は特殊な食事をしていない限り摂取量に問題がでてくることはないといわれています。ビタミンB12が不足するのは、吸収がうまくいかないことが原因になることが多いと考えられています。そのため、治療では注射か点滴でビタミンB12の補給が行われます。連日の投与を行い、次第に間隔を広げて数ヶ月に1度の投与に減らしていきます

葉酸が欠乏している場合は、葉酸を多く含むほうれん草など葉物の野菜や果物、レバーをとることが推奨されます。ただし、葉酸は熱に弱いので、調理法にも気をつけながら摂取できるように心がけましょう。また、葉酸が欠乏している場合には、葉酸の吸収を妨げる原因(お酒など)を避けるようにしてください。

おわりに:巨赤芽球性貧血の治療はビタミンB12と葉酸を効率よく摂取すること

巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12と葉酸の不足が原因で起こります。改善するためにはこれらの栄養素の摂取が必要です。ただし、ビタミンB12に関しては、何らかの原因でうまく吸収されていない可能性があるため、注射や点滴での補給が必要なことが多いようです。いずれにしても、効率よく改善するためには効率よくビタミンB12や葉酸を補給する必要があるので、病院に相談し、状態にあった適切な方法を指導してもらいましょう。

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