女性特有の病気・ターナー症候群について

2017/12/12

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

女性のみが発症する病気のひとつに、低身長や二次性徴の異常をもたらす「ターナー症候群」があります。今回はこのターナー症候群の具体的な特徴や発症の原因、治療法について解説していきます。

ターナー症候群とは?

ターナー症候群は染色体異常によって発症する、女性特有の疾患です。1938年にこの疾患を症候群としてとらえたアメリカの学者の名前から、この病名がつけられました。

人間の性別は遺伝子の性染色体によって決められています。性染色体はXとYの2種類が存在し、その組み合わせによって性別が決まります。男性の場合はXとY、1本ずつの組み合わせで女性の場合は2本ともXの染色体です。しかしターナー症候群の場合は、2本のX染色体の内の1本が一部において、または全てにおいて欠けてしまっています。つまり、性染色体の1本に支障があるために、全体的な成長や体の機能に影響が出やすくなります。

ターナー症候群の症状・特徴について

ターナー症候群の症状は、年齢により異なるという特徴があります。

まず新生児から乳幼児期までにはむくみや中耳炎などの症状が出やすいとされています。また首の周りの皮膚にたるみやひだがあることも多く、そこから検査を受け判明することも少なくありません。

そして幼児期から思春期にかけては、低身長が顕著に出やすい症状として挙げられます。また二次性徴が出にくく乳房が成長しない、初潮が来ないと言ったこともあります。これは、必要な女性ホルモンの分泌が、性染色体の異常により正しく行われていないためです。

そして成人してからは、女性ホルモンの影響から妊娠しづらい、血圧や血管の状態が保たれにくいと言った症状も出ることが多くなる傾向にあります。また合併症として、心・血管系障害などが起こることがあります。

何が原因で発症するの?

ターナー症候群の原因は性染色体の異常ですが、この性染色体の異常が発生する理由と言うのは明らかにされていません。ただ性染色体は、母親が妊娠中、胎内で盛んに行われる細胞分裂において構成されていきます。よってその際に性染色体の数や構造に影響が出てくるのが原因ではないかと考えられています。

胎内で行われる細胞分裂が不十分であったことや、そこで発生した支障などを原因として発症する病気は、ターナー症候群以外にも数多く存在しています。そしてその中には、母親の妊娠年齢が高齢であることとの因果関係が指摘されている病気もあります。ですがターナー症候群に限っては、母親の妊娠した年齢との関連性はそれほど深くないと言われています。また性染色体の異常に関しては、受精直後に起きてしまっていることもあるので、一概に細胞分裂だけに問題があるとも言い切れない側面もあります。

ターナー症候群を改善する方法はある?

ターナー症候群を改善する方法はあります。まずはホルモン療法です。これはX染色体の支障により分泌が低下しがちな成長ホルモンや女性ホルモンを、注射や薬で補う方法です。特に体の発育や二次性徴に支障が出やすい思春期時にこれを補うことは、ホルモン分泌の促進に効果的とされています。

更にホルモン療法は、成人してから妊娠を目指す際にも効果的とされています。ターナー症候群の場合、月経異常が出やすく、そのために自然妊娠が難しいことも少なくありません。しかし女性ホルモンを補うことでこれが改善され、そこから自然妊娠を実現させることも可能とされています。

また成長ホルモンや女性ホルモンの分泌への働きかけが期待できる栄養を意識的に摂取するのも、ひとつの改善法です。ただし染色体異常なので原因を根本から解決することは難しいです。

おわりに:ターナー症候群の症状は年齢によって異なる

年齢によって異なる症状をみせるターナー症候群。赤ちゃんや小さいお子さんにむくみや首の皮膚のたるみなど特徴的な症状がみられたら、念のため病院にて検査を受けることをおすすめします。

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