記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/25 記事改定日: 2018/8/23
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2型糖尿病は、何らかの原因(主に生活習慣)でインスリンの分泌量が少なくなったり。インスリンの効果が効きにくくなることで発症します。
この記事では、2型糖尿病の症状や治療法、子供の症状の特徴など、詳しく解説していきます。
2型糖尿病になっても血糖値が160~180mg/dlを越えるまでは何も症状がないか、あってもごくわずかの症状のみということがあります。
しかし血糖値が高い状態が続けば、腎臓が血液中の糖分を薄めるために、糖を尿といっしょにたくさん出そうとします。すると尿の量が増え、体の水分が尿として大量に排出されるため口の渇きもあらわれるようになります。
最初はこの症状は軽いものから始まりますが、数か月間その状態が続くと尿を介して糖分がたくさん体外に出続けることになるので、必要なカロリーを維持できなくなってしまい、体重が減ってきて空腹感を強く感じるようになります。さらに症状が進むと疲労感が強くなり、目のかすみ、眠気、手足のしびれ、吐き気といった症状が出てきます。中には、動くことすら辛くなり運動が続けて行えないという状態に陥ることもあるのです。
糖尿病は全身に様々な合併症を引き起こす可能性があります。
まず、血液中に過剰なブドウ糖が含まれることで、血液が流れる血管内にダメージが加わり動脈硬化が引き起こされます。
糖尿病では全身の血管に動脈硬化が生じるため、心筋梗塞や脳卒中などの重篤な合併症だけでなく、目や腎臓、神経への血管もダメージを受けることになり、最終的には失明や腎不全に至ります。
腎不全を発症すると人工透析や腎移植が必要となり、神経が障害されることで足の傷から細菌感染を生じて足壊疽に進行すると、足を切断しなければならない場合もあります。
また、糖尿病が進行すると免疫力が低下するため、様々な感染症にかかりやすくなり重症化して肺炎などに進行するケースも多々あります。
このように、糖尿病は日常生活に大きな支障を与える合併症や、場合によっては死に至るような重篤な合併症を引き起こすことがあるのです。これらの合併症を防ぐためにも適切な血糖コントロールを行うようにしましょう。
近年、小児の2型糖尿病が増えています。食の欧米化や運動習慣の減少などによって肥満児の割合が10年、20年前と比べて増加していることが原因と考えられています。
小児が2型糖尿病を発症すると、成人発症よりも早く様々な合併症が現れ、さらに重症化するケースが多いとされています。
2型糖尿病を発症しないためにも、適切な生活習慣を小児の頃から身に付けることも大切ですが、万が一発症してしまった場合でも治療を続けて血糖コントロールを行うよう、親は厳しい管理が必要となります。
糖尿病には1型と2型があり、1型糖尿病はインスリンが分泌される膵臓のβ細胞が破壊されて起こります。2型糖尿病は膵臓から分泌されるインスリンの量が少なくなってしまったり、インスリンは正常に分泌されていても血糖を下げる効き目が弱くなる「インスリン抵抗性」が原因で発症します。
日本人の糖尿病患者の大半が2型糖尿病とされていて、主に中高年に発症しますが、近年では子供や若い世代の発症者が増えているといわれています。2型糖尿病を突然発症することは少なく、血糖値が高い状態が続いていくことで、徐々に糖尿病に移行していきます。ただし、初期の糖尿病は自覚症状がないため、症状などから自分で気付くことは困難です。健康診断や他の病気の検査などの際に発症に気付く人も少なくありません。
2型糖尿病は、遺伝的な要因に環境要因が加わることで発症します。糖尿病の発症リスクに遺伝的な要因は家族性が関係していることはわかっていますが、それだけで糖尿病になるわけではありません。
もともと発症しやすい遺伝的要因を持っている人が高カロリーの食事をとり続けたり、運動不足の状態が続くことで2型糖尿病を発症します。肥満や運動不足、ストレスや喫煙も糖尿病の危険因子のひとつです。これらは生活習慣に関わっているので、2型糖尿病は生活習慣病と呼ばれることもあります。生活習慣が関係している病気は、生活習慣を見直し、適切な生活習慣にすることで発症しないように予防できる可能性があります。
2型糖尿病の治療は、食事と運動の改善が基本です。
まず、食事量は体内に取り込まれる糖分の量に直結するので、医師の指示を仰ぎながら血糖が上がり過ぎないように食事の量や内容を整えます。運動で体を動かすことで、体内の糖分を代謝し、血糖値を下げる効果が期待できます。そして運動で筋肉量を増やし脂肪を減らすことでインスリンが効きやすい体つくりを目指せるのです。
上記のような血糖コントロールが上手くいかないときは薬物療法を検討します。
血糖値を下げる作用をもつインスリンを、内服か注射で摂取します。どちらも食事の前に服用して、食後高血糖を防ぎます。使い方を間違えると低血糖症状を引き起こし危険です。医師の指示通り、決まった量を決まったタイミングを守って使うようにしましょう。
2型糖尿病は、生活習慣病と呼ばれています。初期のころははっきりした症状が現れないので、発見が遅れてしまうことも少なくありません。治療開始が遅れてしまうと、それだけ合併症を発症する確率が高くなってしまいます。
定期健診で早期発見に努めることも大切ですが、まずは糖尿病にならないことが大切です。普段の生活を見直し、糖尿病リスクを下げましょう。また、すでに糖尿病になってしまった場合は、これ以上悪化させないためにも、血糖コントロールを徹底しましょう。