記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/12 記事改定日: 2018/6/6
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
女性の発症率が高い内分泌系の病気のひとつが、「甲状腺機能亢進症」です。今回はこの甲状腺機能亢進症の特徴的な症状や診断方法について解説していきます。また、セルフチェックの項目も紹介するので、受診の目安の参考にしてください。
甲状腺機能亢進症はバセドウ氏病とも呼ばれ、のどぼとけの下方にある甲状腺でつくられる全身の代謝を司る甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで発症する病気です。
過剰な甲状腺ホルモンによって全身の代謝が活発になり過ぎて、食事の量が増えるものの下痢をしやすくなることで、かえって痩せるようになります。
などの症状が現れ、身体が常にジョギングをしているような状態と例えられることもあります。
また、
などに悩まされることもあり、手足の先が小刻みに震えて止まらなくなるといった症状が出ることもあります。
女性のほうが男性よりも約5倍罹りやすいとされ、20歳台から30歳台での発病が全体の過半数を占めると言われています。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌される原因は未だによくわかっていませんが、甲状腺機能亢進症もホルモンバランスが崩れることで起こる自己免疫疾患の一つとされています。
甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは体の様々な新陳代謝を促し、体の働きを活発化する作用があります。このため、甲状腺機能亢進症では、体の様々な働きが必要以上に活発化することで全身に症状が現れます。
以下のような症状がある場合は、甲状腺機能亢進症の可能性があります。当てはまるものはないかチェックしてみましょう。
これらは全て甲状腺機能亢進症の代表的な症状です。しかし、セルフチェックだけで診断することはできず、これらに当てはまるものが少ないからといって甲状腺機能亢進症を否定することはできません。気になる症状が数か月以上続いている人は、病院を受診して適切な検査を受けるようにしましょう。
甲状腺機能亢進症の診断には、血液検査で甲状腺ホルモンの分泌量を調べる必要があり、甲状腺ホルモンの数値が高ければ、甲状腺機能亢進症が疑われます。
血液検査では、甲状腺ホルモンとTSHと呼ばれる甲状腺刺激ホルモンの測定を行います。甲状腺機能亢進症では、甲状腺ホルモンの数値が高くなり甲状腺刺激ホルモンのほうは測定できないほどの低値になっていることが多いです。さらにTSH受容体抗体や甲状腺刺激抗体の陽性が確認されることで甲状腺機能亢進症の疑いが強まります。
エコー検査によって甲状腺内部のしこりや血流をみる方法もありますが、血液検査等では診断がつきにくい場合は、放射性ヨードのカプセル服用後、24時間経ってから甲状腺に取り込まれている放射性ヨードの量を測定するラジオアイソトープによる画像検査が行われることもあります。
甲状腺機能亢進症を発症するとさまざまな全身症状が出ますが、風邪と勘違いしてしまうなど、甲状腺ホルモンの分泌異常が原因だとは気づくにくい側面があります。そうして放置しているうちに症状が進んでしまうこともあるため、一つでも思い当たる症状がある場合は血液検査を受けることが大切です。