鼠径ヘルニアの種類と原因にはどんなものがある?

2017/12/12 記事改定日: 2019/3/13
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

鼠径ヘルニアは鼠径部から腸が飛び出す病気であり、脱腸とも呼ばれています。この病気は進行すると命に危険が及ぶこともあります。
この記事では鼠径ヘルニアの中でも代表的とされる3種についてと発症の原因について解説しています。

鼠径ヘルニアの種類とは?

鼠径部は下腹部と太ももの付け根あたりで、わかりやすく言うとVラインと呼ばれる箇所です。また、ヘルニアとは体の組織が正しい位置から飛び出してしまっている状態を意味する医学用語です。

たとえば、椎間板ヘルニアは椎間板の髄核が飛び出すことを言いますが、鼠径ヘルニアは鼠径部から体の外側に組織が腹筋や腸の一部が飛び出してしまう病気です。
腸が飛び出す病気のため、鼠径ヘルニアは脱腸とも呼ばれます。一般的には子供よりも成人以降の大人に、特に40代以降の男性に多いといわれています。

鼠径ヘルニアは、下記の3種類に分類されます。

外鼠径ヘルニア

外鼠径ヘルニアは鼠径部の外側にヘルニアが発生するのが特徴で、男性であれば陰嚢にまで小腸が脱腸してくるリスクがあり、命の危機につながりやすい「嵌頓(かんとん)」に陥る可能性があります。
嵌頓とは、飛び出したヘルニア内容物が元に戻らなくなってしまった状態のことです。

内鼠径ヘルニア

内鼠径ヘルニアは、外鼠径ヘルニアに対して鼠径の内側、より性器に近い部分にヘルニアが発生するのが特徴です。中年以降の男性に多く、腹壁を腸が破ってしまうことで発症します。

大腿ヘルニア

大腿ヘルニアは、鼠径部の下、太もものあたりにヘルニアが発症します。女性に多いのが特徴で足への血管のわきにヘルニアが飛び出します。外鼠径ヘルニア同様、嵌頓が起こりやすいので早急な治療が求められます。

鼠径ヘルニアになってしまう原因は?

鼠径ヘルニアを発症する原因は、それぞれ以下の通りです。

外鼠径ヘルニア

先天的に鼠径管が広いなどの原因も考えられますが、主な原因は加齢や外傷・手術などによる筋肉や筋膜の脆弱化です。筋肉や筋膜が脆弱化することで、腸管や周辺組織などを支えきれなくなって鼡径管から飛び出してしまうのです。

また、肥満や妊娠、腹圧のかりやすい作業や便秘などによって鼠径管を支える筋肉や筋膜に過度な負荷がかかると、より発症しやすくなります。

内鼠径ヘルニア

手術後や加齢などによって腹壁が脆弱化したり、肥満・妊娠などによって内部から過度な負担がかかることで発症すると考えられています。
基本的には外鼠径ヘルニアと発症原因は変わりません。

大腿ヘルニア

大腿ヘルニアは、女性に多く発症します。これは大腿ヘルニアを引き起こす大腿輪の隙間が女性の方が広いためです。特に出産回数の多い人や大腿部の筋力の弱いやせ型の人が発症しやすいとされています。

おわりに:鼠径ヘルニアの原因は、生まれつきのものとそうでないものがある。

鼠径ヘルニアとは、腸や筋膜などが鼠径部から飛び出してしまう病気です。嵌頓まで症状が進行してしまうと、腸の壊死を引き起こし死に至る危険があります。
大人と子供で原因の違いはありますが、どの年齢にも起こりうる病気です。鼠径部に痛みがあるときはもちろん、痛みがなくても不自然な膨らみを見つけたときは、すぐに病院で検査してもらいましょう。

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