記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/18
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
全身に奇形などの症状が現れる難病、「マルファン症候群」。このマルファン症候群は、いったい何が原因で発症する病気なのでしょうか?以降で解説していきます。
マルファン症候群とは、結合組織(身体の組織を支えた、力を伝達する働きのある組織)に障害があることによって、骨格(高身長、細く長い指、背骨が曲がる、胸の変形など)・眼(水晶体がずれる、強い近視)・心血管(大動脈の拡大、解離、破裂、大動脈弁及び僧帽弁閉鎖不全など)などに症状が現れる、先天性の遺伝子疾患です。結合組織に必要なタンパク質が十分に機能しないため、全身に奇形等の症状があらわれます。
現在のところ治療方法がないため、日本においては厚生労働省によって特定疾患に指定されています。症状は1人1人異なりますが、遺伝子疾患であるため、マルファン症候群の親から子へと遺伝します。ただし、マルファン症候群ではない親から、マルファン症候群の子供が生まれる可能性もあります。
マルファン症候群は、遺伝子異常が原因の疾患です。男女差や人種によって発生率の差はありません。なお、マルファン症候群の遺伝子を持っていたとしても、症状が出るまでに年月がかかる場合もあります。
マルファン症候群の原因となる遺伝子はフィブリリン1(FBN1)という遺伝子で、この遺伝子は身体の設計図としての役割を担っていることから、この遺伝子に異常があると、全身の結合組織が障害を受け、伸びたり、曲がったり、もろくなったりする症状があらわれます。その他にも、TFG-β受容体1、2などの遺伝子が変化することによって、TGF−βという細胞の働きを調整するシグナルが過剰に活性化してしまうことから、結合組織が脆弱になってしまうことも判明しています。
マルファン症候群は常染色体顕性遺伝のため、両親のいずれかがマルファン症候群である場合、その子供に遺伝する確率は50%程度であると考えられています。親がマルファン症候群であっても、子供がそうではない場合、子供の子供(孫)に遺伝することはありません。つまり、基本的に隔世遺伝(世代をまたいで発症すること)するものではありません。
マルファン症候群は遺伝子異常が原因で引き起こされる病気なので、親から子へ一定の確率で遺伝することがあります。ただし、両親がマルファン症候群ではないのに、マルファン症候群の遺伝子変化が突然起こった患者さんも少なくないということを把握しておきましょう。