特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とは?

2017/12/18

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、抗血小板抗体という抗体が作られてしまうことで血小板の数が減ってしまい、出血や点状の紫斑が現れる病気です。この記事では、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の基礎知識を解説しています。

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とは?

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とは、血液中を流れる血小板が免疫の異常により減少してしまい、出血しやすくなってしまう病気であり、難病(特定疾患)に指定されています。

ITPは、骨髄で血小板を作る巨核球が減っていないにも関わらず血小板が減ってしまうことから「特発性(原因が明らかでないという意味)」の疾患であるとされてきました。しかし、現在では何らかの原因で血小板に対する自己抗体「抗血小板抗体」が作られ血小板と結合し、血小板が脾臓で壊されやすい状態になってしまうことが血小板の数が減る原因であることが明らかとなっています。

ただし、なぜ自己抗体ができるのかは解明されていません。最近では、特発性の疾患ではないことがわかったことから「免疫性血小板減少症」と呼ばれることもあります。

「急性型ITP」と「慢性型ITP」について

 

ITPには急性型ITPと慢性型ITPの2種類があり、6ヶ月以内に治癒する「急性型」と、6ヶ月以上続く「慢性型」に分類することができます。

急性型ITPは、主に2歳〰5歳の年齢の小児に発症することが多く男女で発症率に差がないことが特徴です。風邪をきっかけに発症することが多く、その9割が自然に治るとされています。
主な症状として強い出血症状が現れます。皮膚の内出血が原因で点状出血や紫斑として現れることもあります。

慢性型ITPは主に20歳〰40歳の大人の発症例が多く、とくに女性に多いといわれています。主な症状として出血症状があるのは急性ITPと同様ですが、はっきりとした症状が現れない場合や無症状の場合もあるようです。

血小板が減少してしまう理由は?

ITPになると、血小板抗体という蛋白質が自分自身の血小板に結合してしまいます。この血小板抗体が結合した血小板は脾臓、肝臓、骨髄などに取り込まれることによって網内系細胞(主にマクロファージ)という細胞に貪食され破壊されます。その結果として、血小板が血液中から速やかに除去されその数が減少してしまうのです。

また近年では、血小板抗体が骨髄での血小板産生機能を障害してしまい、血小板の生産量が低下してしまった結果血小板が減少してしているのではないかという説もあります。

どんな症状が現われるの?

ITPになると血中の血小板の数が減少します。血中の血小板が減ってしまうと出血しやすくなり、出血が止まりにくくなってしまいます。その結果、皮膚表面から確認できる点状や斑状の出血、歯茎からの出血や口腔粘液出血、鼻血、血便、血尿、月経過多、生理が止まりにくいなどの症状があらわれます。まれに重症化すると脳出血が起きる場合もあります。

ただし、血小板数と出血の重症度には個人差があることからこれらの症状の程度にも差が出てきますし、上で挙げた症状はITPに限った症状ではないことから、これらの症状があるからといって直ちに特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と断定することはできないことはできません。

おわりに:ITPは血小板が抗血小板抗体の作用で血小板が著しく減ってしまう病気。血が止まりにくい、点状の紫斑があるときはすぐに病院へ

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は免疫機能に異常をが起こり、血小板の量が減ってしまう病気です。血が出やすく止まりにくくなるため、出血症状が現れ、皮膚に点状の紫斑がでることもあります。ただし、このような症状はITPだけの症状ではないため、早期の検査が必要です。疑わしい症状があるときは、すぐに病院を受診しましょう。

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