特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、子供と大人で特徴が違う!?

2017/12/18 記事改定日: 2018/8/22
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山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、抗血小板抗体という抗体が作られてしまうことで血小板の数が減ってしまい、出血や点状の紫斑が現れる病気です。この記事では、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の基礎知識を解説しています。

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とは?

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とは、血液中を流れる血小板が免疫の異常により減少してしまい、出血しやすくなってしまう病気であり、難病(特定疾患)に指定されています。

ITPは、骨髄で血小板を作る巨核球が減っていないにも関わらず血小板が減ってしまうことから「特発性(原因が明らかでないという意味)」の疾患であるとされてきました。しかし、現在では何らかの原因で血小板に対する自己抗体「抗血小板抗体」が作られ血小板と結合し、血小板が脾臓で壊されやすい状態になってしまうことが血小板の数が減る原因であることが明らかとなっています。

ただし、なぜ自己抗体ができるのかは解明されていません。最近では、特発性の疾患ではないことがわかったことから「免疫性血小板減少症」と呼ばれることもあります。

子供に多い「急性型ITP」と大人に多い「慢性型ITP」

ITPには急性型ITPと慢性型ITPの2種類があり、6ヶ月以内に治癒する「急性型」と、6ヶ月以上続く「慢性型」に分類することができます。

急性型ITPは、主に2歳〰5歳の年齢の小児に発症することが多く男女で発症率に差がないことが特徴です。風邪をきっかけに発症することが多く、その9割が自然に治るとされています。
主な症状として強い出血症状が現れます。皮膚の内出血が原因で点状出血や紫斑として現れることもあります。

慢性型ITPは主に20歳〰40歳の大人の発症例が多く、とくに女性に多いといわれています。主な症状として出血症状があるのは急性ITPと同様ですが、はっきりとした症状が現れない場合や無症状の場合もあるようです。

血小板が減少してしまう原因は?

ITPになると、血小板抗体という蛋白質が自分自身の血小板に結合してしまいます。この血小板抗体が結合した血小板は脾臓、肝臓、骨髄などに取り込まれることによって網内系細胞(主にマクロファージ)という細胞に貪食され破壊されます。その結果として、血小板が血液中から速やかに除去されその数が減少してしまうのです。

また近年では、血小板抗体が骨髄での血小板産生機能を障害してしまい、血小板の生産量が低下してしまった結果血小板が減少してしているのではないかという説もあります。

特発性血小板減少性紫斑病の症状は?

ITPになると血中の血小板の数が減少します。血中の血小板が減ってしまうと出血しやすくなり、出血が止まりにくくなってしまいます。その結果、皮膚表面から確認できる点状や斑状の出血、歯茎からの出血や口腔粘液出血、鼻血、血便、血尿、月経過多、生理が止まりにくいなどの症状があらわれます。まれに重症化すると脳出血が起きる場合もあります。

ただし、血小板数と出血の重症度には個人差があることからこれらの症状の程度にも差が出てきますし、上で挙げた症状はITPに限った症状ではないことから、これらの症状があるからといって直ちに特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と断定することはできないことはできません。

特発性血小板減少性紫斑病の治療はどうやってするの?

特発性血小板減少性紫斑病の治療目的は、「予期せぬ出血を減らして日常生活に障害を起こさない」ことです。血小板の数と出血の重症度には個人差がありますので、少ない血小板数でも出血がなく日常生活に支障を来たしていない場合には、治療を行わずに経過観察のみでよい場合もあります。
逆に血小板数はそこまで低くないにも関わらず、出血を繰り返す場合には治療が必要になるのです。また、出産や抜歯など出血を伴うことが予想される医療行為を行う場合には、事前に血小板を増やす治療を行うこともあります。

特発性血小板減少性紫斑病は、ピロリ菌感染と関連することが多いため、治療の第一歩として、ピロリ菌感染者には除菌治療が行われます。一方、ピロリ菌非感染者や除菌治療を行っても症状が改善しない場合には、ステロイドの投与が行われます。

ステロイド投与を続けても症状が改善しない場合には、脾臓を摘出する手術が行われたり、免疫抑制剤や血小板増殖刺激因子製剤などの投与が行われる場合もありますが、これらの薬剤は保険適応ではないため自費での治療となります。
また、著しい血小板減少によって生命を脅かすような出血が生じている場合には、免疫グロブリン製剤やステロイドの大量投与、血小板輸血などを緊急で行うこともあります。

日常生活では、何に注意すればいい?

特発性血小板減少性紫斑病では、出血を繰り返している場合以外は血小板数が3万/μl以上を維持していれば特に日常生活で注意すべきことはありません。しかし、ラグビーやボクシングなど衝撃の多いスポーツなどを行う場合には、医師に相談するようにしましょう。

また、急激に症状が悪化することもあるため、症状が落ち着いていた場合でも出血やアザなどができやすくなった場合にはなるべく早めに病院を受診するようにして下さい。

おわりに:血が止まりにくい、点状の紫斑があるときはすぐに病院へ

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は免疫機能に異常をが起こり、血小板の量が減ってしまう病気です。血が出やすく止まりにくくなるため、出血症状が現れ、皮膚に点状の紫斑がでることもあります。ただし、このような症状はITPだけの症状ではないため、早期の検査が必要です。疑わしい症状があるときは、すぐに病院を受診しましょう。

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